ファイナンス 2024年5月号 No.702
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(出所)財務省*3ファイナンス 2024 May 43図表2 国庫収支の調整齋藤通雄氏に聞く、国債を巡る資金の流れと特別会計の基礎(後編)*3) https://www.mof.go.jp/policy/exchequer/exchequer_cash_management/index.htm(令和5年4月現在)(6月、9月、12月、3月)の20日に大きなコブがあります。*3国全体として見たときに、毎月あるいは日々お金がどれくらい入ってくるのか、どれくらい出ていくのか、という見込みをたてた上で、これくらい足りなそうだから、資金繰りのためにこれくらいFBを発行して一時的に資金を調達しよう、という判断をしていきます。このような、国としての資金繰りを担っているのが、理財局の国庫課です。予算を執行していく段階では、予算を所管している各省庁の支出担当者が、自分たちの政策に必要なお金を出していくことになるので、いつどれくらいの額のお金が出ていくかの見込みは、財務省ですべてわかるわけではなくて、各省庁の担当者に聞かないとわかりません。そういう情報を全部集めた上で、さらに金額的に大きい国債の発行・償還と、財政投融資という枠組みからのお金の出入りも全体的に合算した上で、どれくらいお金が足りなくて、したがってどれくらいFBを発行する必要があるのかを最終的に国庫課が判断します。服部 FBの発行額は国庫課が判断するのですね。齋藤 最終的にはそうです。ただ、今お話ししたような中で、各省庁から色々と情報を集めた国庫課と、国債周りのお金の出入りを把握している国債課と、財政投融資の部署の資金繰りの担当者とが集まって、協議・調整をするんですよ。こうしたことを毎月定期的に事務的に行っています。服部 各種特会の支出も考慮するわけですよね。齋藤 もちろんです。一般会計だけでなく特会も含めた政府全体としてのお金の出入りを全て考慮します。服部 その関係を示したのが図表3ですね。「国庫全体での資金繰り(調整)を行うことにより、現金余剰となっている会計から一時的に現金不足となっている会計に資金融通を行うことにより、国庫金の効率的な管理・運用が可能」と説明されており、一般会計や特会に過不足があった場合、それを調整する仕組みが導入されています。ちなみに、FBの発行額に着目すれば、FBは主に外為特会のための短期的なファンディングです。これは、例えば、ドル円介入を考えると、外為特会はいわば円で短期調達し、外債等で運用しているファンドのような側面を持っています。このファンドは円で短期調達しているわけで、そのFBは「外国為替資金証券(為券)」と呼ばれています。そして、前述のとおり、FBの残高をみるとその大部分が為券ですよね。図表4をみるとFBは色々な種類がありますが、投資家には区別されず投資されています。

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