国会議事堂(行政財産)(参議院HPより)(再び、上沼恵美子さんを想起してください。)「私、旅行に行くたびに衝動買いをしてしまうんです。東京に行ったときに気に入ったビルがあったから、小銭入れにあった1千万円で手付を払っておいたんですね。そしたら主人もビルを衝動買いしたんですが、ちょうど私のビルの隣。せっかくなのでつなげた。それが国会議事堂です。」全国各地に行政財産としての庁舎が存在する。国会議事堂も庁舎である。霞が関の官庁街のほか、刑務所等の行刑施設や自衛隊の防衛施設も庁舎に含まれる。庁舎も、老朽化が進んだり、耐震性能が不十分だったりするものが存在することから、計画的に建替えを行ってきている。役割分担としては、実際に庁舎を建設するのは国土交通省官庁営繕部(防衛施設や行刑施設など一部の庁舎は所管省庁が建設)、庁舎建替えの必要性や合理性を審査するのは財務省理財局、それを踏まえて予算査定を行うのが財務省主計局、ということになる。具体的には、要求省庁から理財局に対して取得要望が提出されるとともに、国土交通省に対して営繕計画書が提出される。主計局に対しては整備のための予算要求がなされる。庁舎の建て替えというのは時間とお金がかかるものであるため、計画的に進める必要があり、取得要望に関しては、要求年度の3年以上前から地方整備局や財務局と調整を行っている。理財局・財務局は、各省庁からの取得要望を受け、取得の必要性・緊急性・規模の合理性などを審査し、審査結果を要求省庁に通知するとともに、主計局に意見を送付する。年度末の予算成立後、理財局は「取得等調整計画」を策定し、各省庁は当該計画に沿って庁舎等の取得手続を進めることとなる。近年のトピックとしては「地方都市における既存庁舎の徹底した活用」(令和元年答申)がある。国の庁舎については、特に地方都市において、組織改編や統廃合等により余剰スペースが生じている場合があり、これまでも官署の入替えなどを行ってきた。一方、地方公共団体においても、コンパクトシティ構想等による新たなまちづくりが進められたり、公共施設の統合・廃止に関する方針が定められたりする動きが見られる。このため、最適利用の対象を国の庁舎等に限定せず地方公共団体の所有する公有財産まで拡げることとし、具体的には、国と地方公共団体が参画した協議会を設置し、「国公有施設の移転集約化」や「国公有施設の相互活用」などの観点から議論し、国公有財産の最適化を図っている。例えば、国(税務署等)・東京都(都税事務所)・世田谷区(図書館等)の3者を集約した世田谷合同庁舎などがその一例として挙げられる。また、行政財産としての庁舎は、国の事務・事業実施のために各省庁が使用しているものであるが、玄関ホール部分や利用頻度の高くない駐車場、空地部分など、敷地の中で常に使っているわけではない場所もある。国有財産法第18条第6項で「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる。」とされており、空いているスペースは、各省庁の判断で民間事業者などに使用を許可することができる。近年は不動産事業者や鉄道事業者が、所有する土地・建物の空きスペースを貸し出して、少しでも収益に繋げられるよう努力していると聞くが、国としても、民間と同じく経営努力していく必要がある。この使用許可は有償であり、使用料は税外収入として国の歳入となる。使用許可は、これまで売店、食堂や自動販売機等の設置がほとんどだったが、令和元年答申において、使(1)庁舎の整備について4.庁舎(2)庁舎の有効活用について 22 ファイナンス 2024 May
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