ファイナンス 2024 May 115) 国際資本市場と証券市場の発展の促進を目的とした、金融機関等が加盟する国際的な団体。GX投資を支援する仕組みを創設GX経済移行債特集石石川川2点目の「成長志向型カーボンプライシング構想」は大きく分けて2つに分かれていて、私たちはアメとムチの戦略と見ています。まず、GX経済移行債を活用して今後10年間で20兆円規模の先行投資支援を行っていくことで、新たな技術の開発・実証やインフラサプライチェーンの構築などを支援していきます。2つ目としてカーボンプライシングを将来的に導入して、その財源を持って、令和32年度(2050年度)までにGX経済移行債を償還します。カーボンプライシングの中身は、令和8年度(2026年度)から本格運用される排出量取引制度の中で、発電事業者に対して、令和15年度(2033年度)から排出量に応じて有償オークションを段階的に導入していきます。また、令和10年度(2028年度)から化石燃料のCO2の排出量に応じて、輸入事業者に対して化石燃料賦課金を導入します。カーボンプライシングの導入までに一定期間を置き、かつ低いレベルから徐々に負荷を上げていくことで、企業に対し早めのGX投資を促していきます。矢矢野野CT債の発行にあたっては、発行体の移行戦略、調達資金の使途・管理、環境改善効果等のレポーティングの方法などを定めたフレームワークを策定し、ICMA(国際資本市場協会)5の「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」や「グリーン・ボンド原則」といった国際基準への準拠について評価機関であるJCRとDNVの2社からセカンド・パーティ・オピニオンを取得しました。この点は、他国政府のグリーン・ボンド発行の取組によく見られるプロセスと同様ですね。根根本本このフレームワークの決定プロセスについてエネルギー源に基づくものは4割程度です。それ以外は製造業や運輸などですから、社会全体のカーボニュートラル実現に向けては、エネルギーの脱炭素化のみならず、人々の暮らしや製造業などの分野の脱炭素化も非常に重要で、GXの重要な項目になります。石石川川次に具体的な資金使途としては、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの主力電源化、原子力の活用などのエネルギー部門のみならず、製造業の構造転換や水素・アンモニアのサプライチェーンの導入促進といった新たな燃料、脱炭素燃料のサプライチェーンの構築、加えて運輸部門のGX、これは先ほど話に出たEVやプラグインハイブリッドなどのクリーンエネルギー自動車の導入などが含まれます。さらには、もう少し横串的な資源循環の推進など、様々なものが含まれています。この大分類は、ICMAのグリーン・ボンド原則において示されているカテゴリーになっており、各国政府が発行しているグリーン・ボンド同様の分け方をしています。朝朝倉倉海外ではこのようなフレームワークを作成したり、その資金使途や管理・レポーティングをどうするかは、発行当局に一元化されている印象があります。他方、日本では、経済セクター、環境セクター、国債発行等、それぞれを担っている省庁が一丸となって取り組んでいるところに特徴がありますね。矢矢野野GX経済移行債を活用して先行投資支援を行っていきますが、その投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」を令和5年12月にブラッシュアップ・確定しました。合わせてカーボンニュートラルを見据えた「先行5カ年アクションプラン」を策定しました。少々振り返ってみたいと思います。まずは「GX経済移行債発行に関する関係府省連絡会議」を令和5年6月に設立しました。そちらに内閣官房、金融庁、財務省、経済産業省、環境省が参加しています。その中でフレームワーク案を具体化して決定し、その上で総理を議長として関係閣僚と有識者がメンバーとなっている「GX実行会議」で報告しました。ですから、このフレームワークは、経済産業省あるいは財務省の単独ではなく、日本政府内でGXに関わる主要官庁が皆で議論をして具体化したものなのです。
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