左から順に、 根本理沙(経済産業省産業技術環境局環境政策課GX金融推進室係長) 石川なな子(経済産業省産業技術環境局環境政策課GX金融推進室室長補佐) 朝倉赳(理財局国債企画課課長補佐) 矢野智史(理財局国債企画課課長補佐)矢矢野野ESG債の中では、世界的にグリーン・ボンドの発行量が多くを占める中、令和6年2月に、世界初の国によるトランジション・ボンドとして、CT債を発行しました。石石川川世界に多くあるグリーン・ファイナンスの対象は、省エネや再エネなど、すでに技術が確立されていて普及の段階にあるものが大半です。他方、社会全体のカーボンニュートラルの実現に向けては、省エネ、再エネのみならず、熱や燃料の脱炭素化、製造プロセスの脱炭素化といった、現時点で技術が確立していない分野も含めて対象とするトランジション・ファイナンスの取組みが必要不可欠です。より具体的には、こうしたカーボンニュートラルの道筋は業種、産業ごとに異なりますから、脱炭素化に向けたトランジションのプロセスを明確化した上で、資金を提供するのがトランジション・ファイナンスです。朝朝倉倉今すぐには排出がゼロにはならないかもしれないが、着実にゼロに向かっていく、そこに対する資金調達を行うのがトランジション・ファイナンスと理解しています。トランジションは、必ずしも確立しているわけではない技術なども含まれているため、定義や評価が難しいと言われます。そのため、脱炭素に向けた戦略や道筋を開示し、透明性を高めることで、投資家が評価できるように説明を尽くしていくことが重要と考えています。根根本本今回のCT債の発行により、日本の移行戦略、それに紐づく日本の各分野での分野別の投資戦略を見える化しています。既に確立している技術の普及のみならず、水素還元製鉄をはじめとした、新たな技術の開発・実証、さらに実装にも支援を行い、民間投資の呼び水にするため、政府による先行投資支援を行うものです。矢矢野野次にトランジション・ファイナンスの具体的な中身についてです。GX経済移行債の発行根拠は、令和5年5月に成立したGX推進法となりますが、それに基づき同年7月にGX推進戦略が閣議決定されました。石石川川GX推進戦略は大きく2つに分かれます。一つは省エネの推進、再エネの主力電源化、原子力の活用、水素・アンモニアのインフラ性サプライチェーンの構築など「エネルギー安定供給の確保を前提としたGXの取組」。もう一つは、それを実現、具体化する「成長志向型カーボンプライシング構想」です。朝朝倉倉1点目は「安定供給の確保」とされていますが、供給サイドだけではなく需要サイドも電気を使わなくても物事が進められるようにする取組が多く含まれているわけですね。根根本本その通りです。実際、日本の排出量を見ると、 10 ファイナンス 2024 May
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