門司税関厳原税関支署統括監視官 (総括及び第1部門担当)戸田 彰紀対馬の位置関係万関橋当支署は1883(明治16)年に厳原長崎税関出張所として対馬南部の地、厳原に設置され、一時は厳原港を含む3港が開港指定されたほか、管轄内に最大9か所の税関監視署が設置されていましたが、貿易情勢の変化に伴い、開港は厳原港の1港に、税関監視署は全て廃止されました。しかしながら、1989(平成元)年、対馬と韓国を結ぶ旅客船が就航して以降、出入国者数が年々増加し、2018(平成30)年には全国の空海港で11番目となる年間約41万人が入国する状況まで拡大したことから、2021(令和3)年に比田勝(ひたかつ)出張所を設置、現在は1支署1出張所で長崎県対馬市及び壱岐市を管轄し、国境に近い税関として、監視艇による洋上取締り、出入国旅客に対する税関検査を実施するとともに、海上保安部、警察署などの関係機関と連携しながら、日夜業務に取り組んでいます。はじめに門司税関厳原(いづはら)税関支署は、福岡県福岡市から138km、韓国から49.5kmの距離にある離島、対馬(長崎県対馬市)に所在する税関官署です。なお、対馬は一つの大きな島として捉えられがちですが、1672(寛文12)年に大船越瀬戸が、1900年(明治33)年には万関瀬戸が開削されたため、実は“3つ”に分かれていることはご存じない方も多いのではないでしょうか。各々の瀬戸には橋(大船越橋、万関橋)が掛けられており、走る道路は対馬の南北を繋ぐ重要路線(国道382号線)となっています。ちなみに万関瀬戸に係る「万関橋」は、橋上から西の浅茅湾、東の三浦湾を望む景色が人気となり、対馬の有名観光スポットの一つとして、多くの観光客が訪れています。対馬のプロフィール対馬は南北82km、東西18kmの南北に細長い島で、面積は709km2と日本では佐渡島、奄美大島に次ぎ3番目に大きく、島全体が山を海に浮かべたような地形となっており、この位置と地形が現在も島の生活や経済に影響を与えています。 92 ファイナンス 2024 Apr.国境の島 対馬対馬市
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