(注)職業別(小分類)の就業者数で加重平均した値。宗教家や音楽家など(出所)野村総合研究所「生成AIはビジネスをどう変えるのか」、みずほ銀行「生成AIの動向と産業影響【総合編】」、McKinsey&Company「Capturingthefullvalueof(出所)大和総研「生成AIが日本の労働市場に与える影響(2)」、総務省「令和2年国勢調査」、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)職業情報データベース「簡易版数値系ダウンロードデータver4.00」、「解説系ダウンロードデータver4.00」、日経クロステック「ChatGPT対応に温度差、メガバンクなど大手金融7社が明かすAIへの取り組み」、各社HP、日経BP「金融DX戦略レポート2024-2028」(図表4)生成AI導入によるタスクの自動化対象率(産業ベース)の一部抜粋80ビジネスインパクト決められた行為の自動化具体的なデータセット情報の整理・分類・検索学習データ学習の視点学習アルゴリズム機械学習・ニュートラルネットワーク出力の特徴構造化されたもの非構造化形式出力例データgenerativeAIinbanking」・生成AIが多くの職業の生産性を向上させるとの期待が近年高まっている。生成AIとは、学習データから文章、音楽、画像、動画、ゲーム、アプリ、コードなどの新しいコンテンツの生成ができる、一連のアルゴリズムを指す。従来のAIが「決められた行為の自動化」であったのに対し、生成AIは「新しいコンテンツの生成」を可能とし、日常生活からビジネスにまで浸透し始めている(図表1)。・生成AI市場は、今後10年間で高成長が見込まれ、年平均42%で売上が増加し、2032年までに売上高ベースで1兆3,000億ドル(約195兆円)規模にまで成長する見通しもある(図表2)。・業種別で見ると、生成AIを含むAIの登場により銀行業では2,000億ドル(約30兆円)から3,400億ドル(約51兆円)(銀行業の営業利益の9~15%)の付加価値の向上が見込まれ、特にリスク管理でAIが付加価値を生み出すと想定されている(図表3)。(図表1)従来のAI・生成AIの比較生成AI・日本の労働市場では、総就業者数の約80%が生成AIの影響を受ける可能性があり、約40%の就業者が仕事の半分以上を自動化できるとの推計もある。生成AIはデータ分析・プログラムコードの生成・文章の要約等を扱うオフィスワーク中心の産業で影響が大きく、金融業の生産性向上に大きく寄与すると考えられている(図表4)。・国内金融機関は、業務効率化・新たなサービスの開発・与信判断能力の向上・投資判断の向上・リスク管理とコンプライアンス対応の高度化に生成AIを活用していくことが見込まれ、実際に各社生成AIの活用が進んでいる(図表5)。生成AI活用によるバックオフィスのスリム化、人的リソースの配置の見直しが図られ、新たな成長機会を生み出していくことが期待される。・国内金融機関の生成AI関連の投資額は、2023年の114億円から2028年に1,041億円まで拡大する見通しである(図表6)。従来のAI自動化対象率のデータが欠落している職業は除外した。200(%)情報通信業金融業、保険業教育、学習支援業不動産業、物品賃貸業学術研究、専門・技術サービス業複合サービス事業医療、福祉電気・ガス・熱供給・水道業公務(他に分類されるものを除く)卸売業、小売業総数新しいコンテンツの生成構造化されていないデータセットパターンと関係を学習ニュートラルネットワーク文章、画像、音声生成人工知能(AI)を行内の事務の手続き照会や通達の添削など110を超える業務で導入する。年内に全行員に利用を開放して法律相談やメールの案文作成、リポートの要約などを含め順次対応する業務を増やす。回答の精度を向上させるため、生成AIが参照する行内情報の基盤を2024年度にも整備する。SMBC全従業員に対し「生成AIアシスタント」を公開。生成AIを活用した「行内規定検索サービス」の実証実験を開始。国内全社員が使える社内向けテキスト生成AIの導入。AIチャット導入による事務手続照会の時間の短縮をめざし概念実証を進行中。ワンクリックで稟議資料ドラフトを自動作成できる「稟議作成サポートAI」開発も進めている。テストコードやテストパターンの生成を補助。ChatGPTのように大規模言語モデルをベースとして、日本語に特化した生成AIエンジンによるコールセンター支援システムを開発中。ChatGPTのような大規模言語モデルを活用し、コールセンターへの適用などを想定。生成AI(人工知能)技術を生かし、主力保険商品の強化に取り組んでいる。ChatGPTの技術を基に開発したチャットシステム「SumiseiAIChatAssistant」を使い、新たな企画づくりや日常業務の生産性向上に取り組み保険商品自体を強化。生成AIを活用した、延滞債権/支払に特化した督促交渉AI機能。返済や支払いに関する質問や相談、各種ヒアリングの実施し、連絡約束や入金約束を取得が可能。三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行損保ジャパンSBI生命保険住友生命保険クレジットエンジン(USDbn)1,4001,2001,0008006004002000年平均成長率2020202220242026202820302032604062.339.5(注)1ドル=150円換算42%(図表3)銀行業で期待されるAIの付加価値400(図表6)国内金融機関における生成AI関連の投資額の予測(億円)1,200(USDbn)0投資銀行部門アセットマネジメントコーポレート部門ウェルスマネジメントリテール部門ソフトウェア・エンジニアリングリスク管理ITファイナンス人材・組織1,00002001003001,04180060040020011420232028(図表2)生成AI市場の推移(図表5)国内金融機関の生成AIの活用事例 66 ファイナンス 2024 Apr.生成AIの現状国内金融機関における生成AI動向大臣官房総合政策課 河野 愛/伊藤 恭平本稿では、金融機関における生成AIの成長性について考察する。コラム 経済トレンド118金融機関における生成AIの成長性について
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