ファイナンス 2024年4月号 No.701
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ファイナンス 2024 Apr. 3令和6年度社会保障関係予算のポイント障害福祉分野の人材確保のため、介護並びの処遇改善を行うとともに、介護との収支差率の違いも勘案しつつ、新規参入が増加する中でのサービスの質の確保・向上を図る観点から、経営実態を踏まえたサービスの質等に応じたメリハリのある報酬設定を行うことにより、改定率は全体で+1.12%(国費162億円)とする。なお、改定率の外枠で処遇改善加算の一本化の効果等があり、それを合わせれば改定率+1.5%を上回る水準となる。令和6年度予算においては、歳出改革や既定予算の最大限の活用により財源を確保しつつ、以下の項目を中心に施策の充実を図り、「加速化プラン」3.6兆円のうち1.3兆円程度(約3割強)を実現。3,558億円(拡充分)(総額:1兆5,246億円)(一部、事業主拠出金)【年金特別会計】 (注)公務員分除く- 所得制限の撤廃、高校生年代までの支給期間の延長、多子加算について第3子以降3万円(※)、とする抜本的拡充を行う。※ 多子加算のカウント方法については、現在の高校生年代までの扱いを見直し、大学生に限らず、22歳年度末までの上の子について、親等の経済的負担がある場合をカウント対象とする。- これら、抜本的拡充のための所要の法案を今期通常国会に提出し、令和6年10月分から実施する。その際、支払月を年3回から隔月(偶数月)の年6回とし、拡充後の初回支給を令和6年12月とする。- 拡充後の財源構成については、令和8年度から創設されるこども・子育て支援納付金(仮称)を4.こども・子育て政策の抜本強化「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)において、予算規模3.6兆円(国・地方合計)に及ぶ政策強化の具体策である「加速化プラン」と、それを安定的に支える財源確保の枠組みを決定。スピード感を持って実行に移し、今後3年間(令和8年度まで)にその大宗を実施していく方針。財源の一つとして位置づけることとし、現行制度における財源構成も踏まえつつ、以下のとおりとする(令和10年度以降の本則ベース)。・ 3歳未満被用者:支援納付金3/5、子ども・・ 3歳未満非被用者:支援納付金3/5、公費・ 3歳以上被用者・非被用者:支援納付金1/3、- 支援納付金充当分(3,476億円)について、支援納付金が満年度化するまでの間の財源不足には、必要に応じて、「こども・子育て支援特例公債」(仮称)を発行して充てることとし、令和6年度予算においては、インボイス制度導入に伴う消費税増収相当額の活用等により、発行額は2,219億円。イ 妊娠・出産時からの支援強化○ 出産・子育て応援交付金○ 伴走型相談支援○ 妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援ウ 幼児教育・保育の質の向上等【年金特別会計】○ 4・5歳児の職員配置基準の改善子育て拠出金2/5、2/5(国4/15、地方2/15)、公費2/3(国4/9、地方2/9)569億円(5年度:295億円)〔満年度化〕56億円(5年度:50億円)- 妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と、妊娠届出・出産届出を行った妊婦等に対する経済的支援(計10万円相当)を一体として実施。5億円(新規)- 遠方の分娩取扱施設で出産する必要がある妊婦に対して、当該分娩取扱施設までの移動にかかる交通費及び宿泊費の助成を行う。118億円(拡充分)- 制度発足以来75年間一度も改善されてこなかった4・5歳児の職員配置基準については、令和6年度から30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける。また、これと併せて最低基準の改正を行う。(1)「加速化プラン」のスピード感ある実行ア 児童手当の抜本的拡充

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