ファイナンス 2024 Apr. 41(出所)財務省「令和5年度版特別会計ガイドブック」図表10 特別会計歳出総額の推移齋藤通雄氏に聞く、国債を巡る資金の流れと特別会計の基礎(前編)国債整理基金特別会計とGX経済移行債の今後服部 ここから徐々に国債の話題に入っていきたいのですが、特別会計の支出を見ると、図表10に記載してある通り、その大部分が国債整理基金特会ですね。特会の中での国債整理基金特会の特徴についてお聞きしたいです。齋藤 先ほど指摘したとおり、特会を作る目的というものが三つありまして、そのうちの一つが、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合、というものです。収入・支出にある程度対応関係があって、一般会計とは分けた方が分かりやすいとき、特別会計として管理しましょうということです。国債整理基金特会も、必ずしも収入と支出の対応というわけではないですが、支出の部分で、債務の償還や利払いという点に着目して、政府としてトータルするといくらになるかを見えるようにしましょうというのが国債整理基金特会の役割です。特会というものを一般会計とは別に作って、切り離して整理したほうが分かりやすいので、収入・支出は特会として別に整理する、ということですね。国債整理基金特会はその名前が示しているように、収入と支出の対応関係を明確にするというよりは、政府の債務すなわち国債全体についてその利払いと償還がどれくらいあるのか、ということの全体が把握できるように整理している特会です。なので、国債整理基金特会の歳出については、過去の借金・債務で満期が来るものを返済するための支出というものが金額的には一番大きいです。それから、過去に負担してきた債務の利払費があり、これがその次に大きいです。それ以外に細々したものもありますが、基本的には債務の償還と利払いが国債整理基金特会の歳出の中心をなしていると思っていただければいいです。政府の債務残高は巨額になっており、満期を迎える金額も非常に大きいので、服部先生が指摘されたように、国債整理基金特会の歳出規模も大きくなっているわけです。では歳入の方はどこから入ってくるかというと、それぞれの債務を負担している会計が、返済や利払いに必要なお金を繰り入れてくるので、一般会計であったり、復興債であれば復興特会ですし、今度のGX債であればエネ特、という対応があるわけです。それ以外にも国債だけではなくて借入金という債務もあるので、一般会計に加えて、債務を負っている様々な特会から返済と利払いのための資金を繰り入れてもらって、それを支出しています。服部 図表11のように、新規財源債としての国債の発行収入金は、その多くは一般会計に入りますが、特別会計にも資金が流れます。例えばGXに関する資金の流れであれば、GX債を発行した収入金はエネ特に入ります。一方、一般会計の国債やGX債などの利払いや償還については、一般会計や他の特会から国債整理基金特会にそのための資金を繰り入れて、統括して返済していくというイメージですね。ÿ
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