ファイナンス 2024年4月号 No.701
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成立概算閣議大臣折衝概算要求締切・提出(8月末)概算要求基準(シーリング)決算概要骨太の方針(3月下旬)(12月下旬)(12月下旬)(7月下旬)(7月上旬)(6月頃)(出所)財務省 ファイナンス 2024 Apr. 39各省概算要求書の作成各府省から説明聴取・査定(9月~12月頃)国会審議(1月~)図表9 予算編成の流れ齋藤通雄氏に聞く、国債を巡る資金の流れと特別会計の基礎(前編)齋藤 主計局がやっている仕事の中で一番大きい部分は、国の予算をまとめることです。翌年度の予算は前年の8月末に各省庁から、来年度これだけの予算が欲しい、という概算要求が出されてきて、年末までの数ヶ月をかけて、査定と呼ばれるプロセスを行います。これは、各省庁の予算を担当する財務省の担当者と、各省庁の会計課やそれぞれの政策の担当者の間で議論をしながら、来年度の予算の金額を具体的にいくらにしましょうということを決めていくということです。そして、12月に予算の政府案が取りまとめられて、来年度の社会保障費はいくら、防衛費はいくら、文教予算はいくらというのが決まっていきます。服部 その後、閣議決定がされて、国会で審議されて、予算が成立するという流れですね(図表9)。齋藤 そうです。それで、主計局全体の職員の人数を見ると、内訳としては予算の数字を作っていく担当者が一番多いわけです。法規課経験がなくても、予算係にいれば、自分の担当する特会についてはかなり詳しくなれると思います。予算係は、それぞれの特会を所管する相手省庁に内容を説明してもらいながら予算を作るわけですからね。ただ、担当以外の特会の仕組みや、特会制度全体を理解することは難しいかもしれません。一方、法規課というのは、主計局にありますが、予算の数字とはほぼ関係ない仕事をしています。法規課という名前の通り、予算や財政に関する法規、法令を担当しているのが主計局の法規課です。まず、予算や財政に関する全般的な制度を規律している法令があります。一番中心となる法律でいうと「財政法」という法律と、「会計法」という法律があって、財政法は、例えば予算をどういう項目立てで作るのか、どういうプロセスで編成するのかといった、予算と決算を作っていく段階を中心に、財政の一番基本的な決まり事を書いている法律です。決算は残念ながら予算ほどには注目されません。予算では、どういう政策にいくらまでなら使って良いのかが、金額として決まっているわけですが、国の予算は国会の議決により承認をしてもらって決まっていくので、我々が普段日常生活で使う予算という言葉よりも、非常に厳格にできています。例えば我々が私生活でパソコンを買おうとして、予算を決めて実際にお店に行って性能とかデザイン・大きさなどを色々見てみたら、ちょっと予算オーバーだけどこれがほしいな、と思って買うこともあると思いますけど、国の場合、予算オーバーは1円たりとも厳禁です。国会で承認された上限なので、絶対に許されません。そのため、予算のお金を実際に支出していく段階で、二段階でチェックするような仕組みがあります。特会も全て国会を通ります。一般会計も特会も、予算としては切り分けて整理していますが、概算要求があり、財務省が査定をして、年末に政府案を作るという予算の編成手続きは、一般会計も特会も同じですし、予算の政府案ができたら、予算書として国会に提出して、国会で議論・承認してもらうという点でも、特会も一般会計も同じです。服部 そして、予算通りきちんとお金が使われているのか、チェックをするということですね。齋藤 二段階のチェックのうち一つ目が、お金を出す元になるような契約をする段階です。これは会計法とか財政法の世界では「支出負担行為」という言葉を使いますが、分かりやすく考えてもらうと、契約を結ぶ段階と思ってもらえればよいです。その段階で、契約する金額が予算の範囲内に収まっているかをチェックするのが一段階目です。その後、実際にその契約に基づいてモノを買い、契約通りのモノが正しく納品されて機能することを確認した上で、契約していた金額を実際に支払うのが「支出行為」です。ここが二段階の

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