ファイナンス 2024年4月号 No.701
40/102

(出所)財務省「令和5年度版特別会計ガイドブック」(出所)財務省「平成21年版 特別会計のはなし」特別会計の具体的な設置要件について、財政法第13条第2項は、次の場合に限って可能としています。すなわち、国が(1)特定の事業を行う場合(2)特定の資金を保有してその運用を行う場合(3 )その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限って、法律で定めることで、特別会計の設置を認めています。〈参照条文〉財政法第13条第2項国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。図表5 特別会計の設置要件図表6 設置要件別に分類した特別会計の種類(平成21年度:21特別会計)います。これらは、国としてある程度大きな規模の資金を運用して、その資金の運用に伴う収益や、資金の管理に伴う支出などを整理する目的で、一般会計に入れるのではなく特会として整理しています。資金運用に関連するお金の部分だけを切り分けて整理ができるように、というのが資金運用特会の役割です。そして三つ目は、一般的な書き方になっていますが、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合、というものです。これには後で説明する国債基金整理特会などが当てはまりますね。服部 たしかに財投を担う財政投融資特別会計や外為特会は、まさに図表5における「特定の資金を保有してその運用を行う場合」ですね。財政投融資特別会計や外為特会の2つは、一般会計からは分けて整理したほうが、その運用規模や損益が明確ですね。図表6は少し古いものですが、エネルギー対策特別会計(エネ特)や国債整理基金特会は三つ目に分類されています。齋藤 社会保険は保険事業として行っているので、それに関連する特会はまさに一つ目の「特定の事業を行う」という区分ですね。三つ目の区分は、国債整理基金特会と、あとは地方交付税の特会(交付税及び譲与税配付金特別会計)も整理区分特会という分類だと思います。私が係長として業務を行っていた頃、よく参照していた小村財政法(小村武『予算と財政法』)の当時の版だと、エネ特はたしかに三つ目のその他に分類されています。どの特会が三つの分類のどれにあたるかは、昔は小村財政法に書いてあったのですが、今ではその辺りが曖昧になってきたからか、最新版では記載がないようですね。例えば、今の特会のなかで金額的に大きいのは年金や健康保険などの社会保障関係の特会ですが、これらをなぜ一般会計から切り離しているかというと、社会保険の制度には別に社会保険料という固有な収入があって、それに加えて国庫負担と呼ばれる一般会計から繰り入れられるお金があって、それらによって年金や健康保険という社会保障を給付しているわけです。そういう社会保険の仕組みやそれに伴うお金の流れを理解しないといけないので、一般会計に比べて、特会特別会計が難しいと指摘される理由服部 資金の流れを分かりやすくするという議論をしましたが、一般的に、特別会計は複雑であると指摘されることも多いとおもいます。例えば、『特別会計ガイドブック』では「特別会計が多数設置されることは、予算全体の仕組みを複雑で分かりにくくし、財政の一覧性が阻害されるのではないか」などと指摘しており、このことも特別会計の統廃合が進んだことの一因と考えられます。特会が複雑だと指摘される原因についてはどのように考えられていますでしょうか。齋藤 私自身は特会が必ずしも分かりにくいとは思いませんが、分かりにくいという指摘があるとすれば、その理由は、特定の事業を行うなど、それぞれの特会に固有の歳入と歳出があり、どういうお金が入ってきて、それをどういう目的のために使うというのが、特会ごとに決まっていることがあると思います。それが特会ごとに違うので、特会を理解しようと思うと、それぞれの特会の設置目的や収入支出の特色を一つ一つ理解する必要があります。 36 ファイナンス 2024 Apr.ÿÿÿ !"#$ %&'( )*+,-,./,0/12ÿÿ3456789: ;<9: 5=>9:0?, @A9:BC(DEFG4HIJ12KL>M N OPQ78 RSTUV9: WXYZ[0? 4+\IM1/12ÿÿ]^>@_!`a$@SNbcd6BC(DEef g=hSSNbcd6BC(DEg=ihS g=hSSNj, k3lmSNbnd6BC(DEk3lmSN 4+\IM1/12ÿÿ ^>@_BC(o,p*JUEef OqrstursDE(56rstvwxytzsN { |}~€‚ 0?4+\IM1/12ÿÿƒ„…†ÿˆ‰Š‹ŒŽ‘’Œ“”•–—˜™š›œžš›’Œ“”Ÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿ›¡¢£’Œ“”¤¤¤›¥“”ÿ—„Ÿ¦£’Œ“”—›Ÿÿ—§Ÿ¨©¢£’Œ“”—›Ÿÿ¤ª«¬­¢£ÿÿÿ¤®“¯°±²¢£ÿ—³Ÿ´µ¢£’Œ“”—¶Ÿÿ—†Ÿ·¸¹¢£’Œ“”—¥Ÿÿÿ¤º»¼´µÿÿÿ¤½¾ÿ¤¿À´µÿ¤’Áª«Âñ²ÿ¤ÄÅ´µÿÿÿ¤ªÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÿ¤œÐÿÿÿ¤ÑÒÓÁÔÕÿÿÿ¤Ö£©×¼´µÿ¤’Øÿ¤Ù¬´µÿÿÿ¤ÚÛÜÓÝÿÿ¤Þļ´µßàÞ£©×´µÿÿÿ¤áâ¼´µÿš¡¯Ðã䒌“”¤¤¤š“”ÿÿÿÿÿÿÿÿ¤Â¸åæ¯ÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿÿ¤çªèé¯Ðÿê¡ë•줤¤ê“”ÿ—„Ÿ±íŒ“”—šŸÿ—³Ÿë•ì—›Ÿÿ¤ïðñßàòóñôðÐÿÿÿ¤÷øùúÏûüÿ¤ªõ±íöÐÿýþÿ ÿýþ !" ÿ#ÿ$%&'(

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る