ファイナンス 2024年4月号 No.701
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主計局主計官 後藤 武志また、国庫債務負担行為による新規契約額については、9兆6,803億円(対前年度比+1.1%)を計上しており、このうち防衛力整備計画対象経費は、整備計画で規定された新規契約額の上限(43兆5,000億円程度)を踏まえつつ、9兆3,625億円(対前年度比+4.6%)を措置している。(図表2:新規契約額の推移)*1) 防衛省情報システム関係経費のうちデジタル庁に計上する324億円を含む。*2) SACO関係経費とは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告(平成8年12月2日)に盛り*3) 米軍再編関係経費とは、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)及び「平成22年5月28日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成22年5月28日閣議決定)に基づく再編関連措置のうち、地元の負担軽減に資する措置を実施するために必要な経費を指す。*4) 予算額は「(2)米軍再編、基地対策等の推進」を除き契約額ベース。なお、初度費(専用治工具費や初度設計費等)は含まない。込まれた措置を実施するために必要な経費を指す。1.令和6年度防衛関係予算の全体像令和6年度の防衛関係予算は、令和4年(2022年12月16日の国家安全保障会議及び閣議において決定された「防衛力整備計画(以下「整備計画」という。)」等を踏まえて編成を行った結果、全体で7兆9,496億円(対前年度比+16.5%)を計上している*1。このうち、SACO関係経費*2、米軍再編関係経費*3等を除く防衛力整備計画対象経費については、整備計画を踏まえ7兆7,249億円(対前年度比+17.0%)を措置している。(図表1:防衛関係予算の推移)2.価格低減等の取組令和6年度防衛関係予算編成においては、内外の物価上昇や為替の減価に加え、装備品の調達価格の仕組みも影響する中で、装備品等の価格上昇が大きな課題であった。過去の中期防衛力整備計画とは異なり、今回の防衛力整備計画では防衛力整備の水準に係る総額等が名目値で記載されていることを踏まえれば、装備品等の価格低減を図からなければ計画時に想定された調達が実現できないことは明白であり、財政制度等審議会の「令和6年度予算の編成等に関する建議」においても、「防衛力の抜本的強化を達成するためには限られた財源の中で装備等を最大限に充実させる必要があり、価格低減等のコスト削減に努めなければならない」とされたところ。以下、予算編成過程における価格低減等の取組例について紹介する。*4ア  大型輸送ヘリCH−47(チヌーク) (陸自12機 2,106億円、空自 5機982億円)○ 官給品の活用等により、計▲213億円を低減(陸自▲9億円/機、空自▲20億円/機)。なお、今後、チヌーク以外のライセンス生産品も含め、官給品の更なる活用の取組を実施することとしている。イ イージス・システム搭載艦(2隻 3,731億円)○ 搭載システム及び搭載装備品の価格精査や建造費用の合理化を図ることで、計▲66億円を低減。今後、ライフサイクルコスト抑制の観点から実効的なプロジェクト管理を強化することとしている。その他、部材価格の見直しの精緻化や整備器材の効率化等による価格低減の主な例は、以下のとおり。・ 新型FFM(2隻 1,740億円)【▲7億円低減】 28 ファイナンス 2024 Apr.令和6年度 防衛関係予算について

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