ファイナンス 2024年3月号 No.700
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➣再建・復元建造物 20棟(倒壊5棟など)➣石垣 崩落-膨らみ-緩み517面、約23,600m2(うち崩落229面、約8,200m2)➣地盤 地割れ70箇所、約12,345m2➣利便・管理施設 26棟(屋根破損など) 【写真提供:熊本城総合事務所】【写真提供:熊本城総合事務所】写真(3)天守閣長塀飯田丸五階櫓宇土櫓ファイナンス 2024 Mar. 95熊本市(1)復旧計画(2)復旧状況きており、現在の貸付面積は、東京ドーム9個分に相当する約41.8ha(公園区域の約74%)となっています。なお、国指定天然記念物「藤崎台のクスノキ群」や広大な芝生が広がり熊本城マラソンのゴール地点となっている「二の丸広場」なども貸付財産に含まれており、市民や観光客などの憩いの場となっています。また、熊本の食文化や歴史、伝統を発信する「城彩苑」(観光施設)の敷地は元々国有地であり、熊本市が所有していた土地(現在の熊本地方合同庁舎敷地)と交換したもので、賑わいの創出にも寄与しています。写真(2)現在の熊本城公園テレビ報道などで熊本城大天守最上階の瓦の大半が剝がれた様子や「奇跡の一本石垣」と注目された飯田丸五階櫓は皆様の記憶にもあるのではないでしょうか。〈被害状況〉➣重要文化財建造物 13棟(倒壊2棟、一部倒壊3棟など)3.熊本地震による被害平成28年4月に発生した熊本地震は最大震度7を2回記録するなど、県内各地に甚大な被害をもたらしました。熊本城公園内の重要文化財や石垣などにも以下のような被害が確認され、地震発生後しばらくの間は立ち入りができない状況となりました。こうした中、市民・県民の皆様をはじめ関係者の尽力により、その都度、復旧・復元が成し遂げられてきました。熊本市では「熊本城復旧基本計画」に基づき、熊本地震で被災した熊本城公園内の復旧を進めています。同計画は、史跡や文化財の価値を損なわない復旧事業に不可欠な調査・分析・設計等の学術的・技術的判断に係る検討に時間を要しているほか、事業量に見合う必要人材の確保などに不安定要素があることから、当初より15年延ばして令和34(2052)年度に完了する見込みとなっています(令和5年3月改定)。令和3年1月には重要文化財建造物の復旧第1号として「長塀」、同年3月には復興のシンボルとして最優先に着手した「天守閣」が完全復旧し、展示・内装が刷新された天守閣を含むエリアは、復旧工事の状況を見4.熊本城公園の復旧と国有地の活用熊本城公園は、築城以来さまざまな災害を経験しており、近現代の主な災害としては、明治10年の西南戦争の際に大小天守や本丸御殿の焼失、明治22年の金峰山地震による石垣の崩落、平成3年の台風19号による長塀の倒壊などがあります。

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