Mラボのコンセプトそうした仕組みは、縮小化が進む日本の最前線での取組みとなり、他の自治体にとってもいいお手本になるのではないかと思います。奈良財務事務所としても、三宅町の今後の取組みを支援してまいりたいと考えております。地方創生コンシェルジュ近畿財務局奈良財務事務所長 前田 泰之三宅町では、「ビジョン・ミッション・バリュー」を定め、地域住民の方に寄り添い、共に考えるなかで、時代に合わせた新しい自治の仕組みを生み出そうとしています。ファイナンス 2024 Mar. 93三宅町もそも「自治」とは、私たちが「私たち」のままで、日々の暮らしを守り続けていくこと。それは「分相応につくる力」を育む営みだとも言えます。「Small is Beautiful.」かつて文明経済学者のシューマッハが唱えたこのシンプルな言葉が、三宅町が探求したい価値観と重なります。Mラボが掲げるミッションは、「小ささの可能性を探求し、挑戦の総量を増やすこと」。自分たちのまちを自分たちで治める自治の営みにもっとも必要なのは、派手な特殊能力や専門的な知識ではなく、小さくつくり続けるスモールデザインの力です。ひとりひとりが小さくともまちをつくりだす力を身につけることで、三宅らしい自治の仕組みと多彩なスモールチャレンジが三宅に溢れる未来を目指します。本事業では、これまで以上に町民の方々や多様な専門家がごちゃまぜになってまちの未来を話し合ったり、企業や大学と協力して「欲しい未来」をつくるための実証実験を展開していければと考えています。これまで三宅町が取り組んできた官民連携や住民サービスは、役場内の意思決定の速さや、挑戦と失敗を許容する組織風土、地域の声にきめ細やかに対応できる距離感から生まれてきました。三宅町役場の強みは、小ささの価値を理解し、活かせる点にあります。Mラボではこの強みをより一層深く探求しながら、まち全体でスモールデザインの力を育んでいきたいと考えています。小ささを価値に変える技術と知恵は、縮小を余儀なくされているこれからの地方に求められるものです。また、経済規模が大きい都市ではなく、自然資本が豊かな農山村でもない、三宅のまちづくりだからこそ伝えられることがあるはずです。小ささから価値を生み出す知恵を集め、発信することで、スモールデザインの文化を日本全国へと伝え拡げていけたらと思います。場所や世代にとらわれるのではなく、想いでつながれる人たちとの関係を大切にしていく。既存の境界線を溶かし、多様な仲間と手をとりあう未来を目指したいと思います。日本で2番目に小さな町の大きな挑戦 5.おわりに本稿でご紹介したもの以外でも三宅町役場では様々な挑戦を行っております。担当者それぞれの思いのつまった記事を三宅町公式noteに掲載しておりますので、こちらもあわせてご一読いただけると幸いです。
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