ファイナンス 2024年3月号 No.700
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ファイナンス 2024 Mar. 85*11) 平成8年第5号(通巻第41号),特集「社会資本整備」 *12) 平成14年第1号(通巻第61号),特集「地方財政制度の課題と評価」 *13) 「地方交付税制度に潜むインセンティブ効果−フロンティア費用関数によるソフトな予算制約問題の検証−」 *14) 赤井伸郎・佐藤主光・山下耕治(2003)『地方交付税の経済学:理論・実証に基づく改革』(有斐閣)*15) 令和4年第4号(通巻第150号),特集「持続可能な経済:理論的条件と将来見通し」 *16) 令和5年第4号(通巻第154号),特集「グローバルな視点からの経済財政に関するリスクと不確実性の分析」 *17) 「地方自治体の最小効率規模−地方公共サービス供給における規模の経済と混雑効果−」 https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8379094/www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list3/r41/r41.htmhttps://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8379094/www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list4/fr61.htmhttps://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8379094/www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list4/r61/r_61_120_145.pdfhttps://www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list8/fr150.htmlhttps://www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list8/fr154.htmlhttps://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8379094/www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list4/r61/r_61_059_089.pdfPRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 29ている号です。当時、Journal of Public Economics誌のエディターでもあったクイーンズ大学のロビン・ボードウェイ先生にも執筆していただきました。そのオリジナルの英語版がPPRに掲載されていますが、この論文は海外の研究者によっても比較的多数引用されているようです。これも又、古い号ですが、三つめは、吉野直行先生が責任編集をされた、1996年の特集「社会資本整備」(41号*11)でしょうか。日本においては,社会資本について1990年代から2000年代半ば頃まで数多くの実証分析が行われてきましたし、私もいくつか論文を書いていますが、この特集号には、その自分の論文が基づくいくつかの重要な研究が含まれています。同時期における他の研究もこの号の論文を参照しているものが多く、後に続く研究によって引き継がれ、次の段階の研究を促進したという意味で重要な特集だと思っています。赤井:昔の特集まではあまり見られていませんでしたが、思い出すと自分が研究していく上でも大きな影響を受けた特集号はいくつかあった気がします。2002年の跡田直澄先生の号(61号*12)に、私と山下耕治先生と佐藤主光先生の三人で論文*13を書きました。これがベースになってその後、本*14を書いて、日経・経済図書文化賞もいただきました。最近で言うと、もちろん林先生の号(151号)も大変勉強になりましたし、最近関心を持っている持続可能性について扱った150号*15は、持続可能な経済にどのような理論的条件があるのかを再度確かめたという特集で、印象に残っています。それから将来に関わる話でもある、154号*16の「グローバルな視点からの経済財政に関するリスクと不確実性の分析」は、円安がどんどん進み、借金もどんどん増え、国債も外国人がたくさん買うなどして大きく状況が変わって来ている中で、日本経済や日本の財政はどうなるんだろうというところを気にしている立場からすると、一番初めに言った少し先の将来を見据えて何が起きるのか、それに対してどのような研究があるのか、そういうものをまとめた号として、この号はとても今のタイミングに合っていると感じて興味深く読ませてもらいました。過去を整理する、最新の研究を整理する、それに加えて今まさにトピックになっているものや将来どうなるのか関心の集まっているものを扱うという問題意識でまとめるといったことがフィナレビの特色だとすれば、まさに、この150号や154号は非常に興味深いと思います。林:赤井先生のお話を伺って思い出したのですが、跡田先生の61号には、私の論文*17も含まれていましたね。ある学会で賞をいただくことになる論文なのですが、一部内容を改訂した英語版もありますので、それを含めたcitation(引用)数も私の論文の中では2番目に多くなっています。今から見直すととても満足できる内容の論文ではないのですが、通常の査読を経ていたら、あの形で出版はできていなかったはずなので、そういった意味では、フィナレビが良いプラットフォームになったと思います。

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