ファイナンス 2024 Mar. 79*4) 「新種預金の導入と預金準備率」 https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8379094/www.mof.go.jp/pri/publication/■nancial_review/fr_list2/r26/r_26_103_150.pdfPRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 292.Public Policy Reviewについて渡部:3.財務省職員に伝えたいこと渡部:英語版フィナレビであるPublic Policy Review(以下、「PPR」)の意義について、お考えをお聞かせいただけますか。河合:日本経済・金融・財政や国際貿易・投資・金融・制度に関するトピックについて、日本の学者や専門家がどういうことを考えているのかを国際的に発信していくことは非常に重要なことです。そうした発信を強化することは、財務総研の国際的なプレゼンスを高めていくことにもつながるので、PPRは今後も続け、さらに発展させていくべきだと思います。また、過去のフィナレビの日本語論文の中には、英語論文として国際発信すると価値があるものが多くあるのではないかと考えています。さらに、日本の制度や政策、それらの変更に関する説明等を英語で国際発信することも有用だと思います。政策担当者や学者がコラムのような形で執筆し、PPRに掲載するといったことをやっていいかもしれません。吉野:PPRはインターネット上で無料で見ることができますので、海外の方からしても非常に価値があるものだと思います。執筆者としても、日本語の論文を英語にすれば、潜在的な読者数は大幅に増えます。その際、タイトルを英語で読んでみて魅力的なものにすることも重要だと思います。河合先生のおっしゃる通り、過去の論文も海外の方が興味を持ちそうなものは、今からでも英語にしても良いのではないでしょうか。昨今はAI翻訳の精度も向上していて、それほど難しいことではないと思います。フィナレビの主目的として財務省の行政に資するようなリーダブルでクオリティの高い論文を掲載するということがあるかと思いますが、財務省職員に伝えたかった思いやメッセージはありますでしょうか。4.財務総研、フィナレビに期待すること渡部:河合:私は国際局に2年おりましたので、職員の皆さんがしっかり仕事をされていることは知っています。しかし、どうしても特定の分野のことに集中してしまうので、もっと幅広いことを考えるような時間があってもいいのではないかと思っていました。もちろん特定の分野を掘り下げていくことは必要ですが、それを取り囲む全体像を理解し把握していくことも重要です。フィナレビを読んで、専門家や学者はどういったことを考えているのかを理解し、全体像を押さえてみることで、仕事への熱意ややり方が少し変わるかもしれません。また、職員の皆さんがフィナレビ向けの論文を書く機会がもっとあってもいいのではないかと思っています。論文を書くことで、様々な現象を論理的に整理し、さらにそれまで知らなかったことや気づかなかったことも取り込んで、データを駆使しつつエビデンスに基づいた結果を導き出し、政策的な含意をまとめることができます。財務省職員全体の知的レベルは高いわけですが、それをさらに向上させることができると考えます。吉野:まず、財務省の中におられる方たちと学者が一緒に論文を書くことは良いと思います。26号の論文*4は、財務総研の研究員の方たちと一緒に書きました。また、財務総研と省内の各部局でうまくコラボレーションできると、財務総研の価値は上がると思います。現場が抱えている問題には、短期的に答えが必要なホットなトピックと、時間をかけて検討できるものとあると思いますが、前者については、その分野で専門家はどういった意見を持っているのか、財務総研がサーベイを提供することには意義があると思います。他方、時間をかけられるテーマについては、1~2年かけてじっくりと分析をすれば良いと思います。今後の財務総研、フィナレビにどのようなことを期待されていますか。
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