令和5年度職員トップセミナーファイナンス 2024 Mar. 716. 「自分ごと化」につながる組織マネジメント・リーダーシップ学校などでも結構食物残渣を出されていますよね。その残渣に弊社の微生物を添加し攪拌していきますと、1週間ぐらいで95%ぐらいの水分を飛ばすことができて、堆肥のベースになるものができます。そこから発酵させて1ヶ月ぐらいすると完全に堆肥化されます。それを農家さんに販売するのです。いわゆる残渣を有価にしていくのです。稼げるものにしていく、これが一つのビジネスモデルになっています。これも無駄を出さないという強い思いがあるからだと思います。さらに、学校現場への出前授業を通じてお子様にも早いうちからSDGs教育をしていくということもやっています。これらも全てリサイクル、循環型のビジネスを回していくための素地作りかなと思っています。(1)権限委譲とアジャイル型組織ここからは組織マネジメントとリーダーシップについてお話しします。日本軍の失敗について研究した「失敗の本質」という本に、日本軍の失敗のヒエラルキーという話がありましたが、それにヒントを得まして、社内でかなり小ユニットのチームを作り、チーム内のリーダーとメンバーに対してある程度の権限移譲をして、アジャイルに仕事を回していくということを試行しています。そうしますと、失敗してもリカバーしやすいですし、自立自発的な動きができるのです。ここが一つ弊社の組織のポイントであり、それぞれが自分の小さいカンパニーみたいな感じで収益を考えるのです。大規模な組織は、サイロ型になりやすいという問題があります。サイロ型の組織では、情報の共有が不十分で、組織の柔軟性が低下します。私たちはグローバルなビジネスを展開しており、競合の動きや外部環境の変化に素早く対応しなければなりません。そのときにこの組織のサイロが邪魔なのです。そこで、私たちは部門という枠組みにとらわれず、プロジェクトごとにメンバーを適切に入れ替えていくことで、仕事の効率を高めています。そのとき注意しなければいけないのは、リーダーの役割です。リーダーが方向性を明確に示さないと、メンバーが混乱してしまいます。そこがリスクであり、正直怖いところですが、リーダーの能力を向上させる訓練を行うことで対処したいと考えています。これは「自分ごと化」という考え方に基づいており、皆が会社のビジネスを自分のこととして捉え、主体的に動くことができるようになることを目指して、試行しています。(2)変化対応力強化=PDCAとOODA中長期と短期の計画がそれぞれあるかと思いますが、それを管理するモデルの使い分けをしています。PDCAサイクルは通常の業務において、年間計画や3年計画に適用すると効果的ですが、時間がかかるという欠点があります。一度止まってしまうとなかなか巻き戻しが難しい。そのため、日常業務や短期的なタスクには、短期型のOODA(Observe<状況観察>、Orient<状況判断>、Decide<意思決定>、Act<実行>)ループを使用しています。現場が状況を観察し、判断力を向上させ、意思決定していく、そして一部の意思決定を任せて実行力を向上させる。これを繰り返しています。しかし、やはりしっかりとした年間計画や3年計画は必要であり、これらの中長期的な計画と常に比較し、ずれがないかを確認します。このような使い分けを積極的に行っています。(3) 変化対応力強化=アジャイル型の製品・サービス開発製品開発のところでは、一つひとつの開発工程を順番に完了させていくウォーターフォール型で物事を進めていきますと、やはり失敗時の修正が難しいので、私たちはアジャイル型を採用しています。まずはお客様向けにカスタマイズした製品を提供し、その後、細かくサイクルを回して、必要に応じて製品を修正し、バージョンアップしたもので再度提供します。まずトライして、直していくというアジャイル型の進め方は、実は一番成功確率が高いのではないかと思っています。(4)バックキャスティングによる成長戦略グループ全体でやっていることもあります。ありたい未来像を設定し、その未来像から現在にさかのぼって計画を立てるバックキャスティングという手法を用いています。現在から未来に向かって予測を立てるフォアキャスティングも併用しています。これら二つ
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