ファイナンス 2024年3月号 No.700
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第49回 「静岡県沼津市」第49回 「静岡県沼津市」町ちょうや仲なか町ちょうは水運や漁業の拠点として賑わっていた。275D510C240E295E540C470D470D1,570C560C510C320D1,560C570C1,380C810C1,410C360D490D360D255E560C610C1,650C1,620C620C1,730C1,520C1,510C400D1,200C370D400D1,090C320D320D1,080C870C730C500D2,210C2,160C2,240C2,100C1,720C1,550C1,500C1,130C1,150C340D400D970C870C290D275D270D2,350C2,390C610C550C600C540C1,430C420D900C390D400D390D410D870C390D850C2,900C2,550C2,600C2,430C660C630C2,310C650C1,900C1,500C420D410D400D400D420D410D440Dアニメが示すまちづくり戦略の未来アニメが示すまちづくり戦略の未来街道と水運が交差する通横町宿場町の本陣(ホテル)は上かみ本ほん町ちょうと下しも本ほん町ちょうにあった。上下まとめて本ほん町ちょうとも呼ばれる。また問屋場(事務所)が通とおり横よこ町ちょうにあった。静岡県統計書に所載される宅地最高地価の初出は明治18年(1885)で、沼津市街の最高宅地の所在地には「沼津本町」とあった。沼津本町は大字名で、御成橋に続く東西の通横町、大門町が含まれ、それより南の旧市街はすべて沼津本町である。町名の本町と大字の沼津本町は異なるが、本陣があった上本町、下本町、同じく東海道沿いの通横町が沼津本町の中の一等地だったと考えて差し支えなかろう。大正12年(1923)から所在地が絞り込まれ「本字通横町」となった。宿場町時代の街の中心は明治・大正期においても街の中心であり続けた。街なかに狩か野の川が流れ、その河岸に船着場があった。河岸沿いの魚うお沼津は元々湊町そして宿場町である。沼津宿は東海道五十三次の12番目で、箱根峠を越えて三島宿の次だった。沼津藩が置かれたのは安永6年(1777)で、徳川政権の閣僚を輩出していた水野家が治めていた。町人街は既にできあがっていたため、本城や武家地は街道の西北に造成された。大政奉還後の政変で中央政府を追われた徳川家は、駿遠に三河地域を加えた静岡藩の首長におさまり、明治4年(1871)の廃藩まで当地を治めていた。沼津も静岡藩の支配となり、城主が退去した沼津城は藩立沼津兵学校に転用される。フランス陸軍に倣った士官学校だが、廃藩に伴い兵部省に移管され、その翌年には閉校となった。沼津城は解体され、堀も埋め立てられた。後に2度の大火、震災、空襲で町割りが上書きされており、現在の区画から城下町の痕跡をたどるのは難しい。街道沿いで生まれた地元行現在、沼津に本店を置く銀行はスルガ銀行と静岡中央銀行の2つある。これに静岡県の一番行である静岡銀行を含めた地元3行は旧東海道の沿道にある。スルガ銀行は明治20年(1887)、現在の沼津市青野に当時22歳の岡野喜き太た郎ろうが創業した貯蓄組合「共同社」を起源とする。明治28年(1895)10月に根ね方がた銀行となる。翌年、沼津市街の六軒町に移り駿すん東とう実業銀行と改称。さらに4年後の明治33年(1900)に通横町の現在地に移転する。駿河銀行となったのは明治45年(1912)だ。当行は、昭和前期の一県一行主義を拒絶したことでも知られる。岡野喜太郎は大蔵省銀行課長に呼び出され静岡銀行と合併を迫られたが机を叩いて拒絶したと日本経済新聞「私の履歴書」にある。93歳まで頭取を務め、会長職のまま昭和40年(1965)に101歳の天寿をまっとうした。社名表示をスルガ銀行に変更したのは平成2年(1990)である。次に、静岡銀行沼津支店の沿革をひもとくと、沼津に本店を構えた2つの銀行にさかのぼる。1つが沼津初の銀行である沼津第五十四国立銀行である。創業は明治12年(1879)だが、3年後に静岡が本店の静岡第三十五国立銀行に統合された。明治30年(1897)、免許後20年と定められていた営業期間が満了したため三十五銀行となる。静岡銀行沼津支店のもう1つの源流が沼津銀行である。これは明治13年(1880)に旗上げされた「通信社」を起源とする。沼津銀行になったのは明治24年(1891)で、明治29年(1896)に創業地の川かわ廓ぐるわ町から上あげ土つち町に移転した。その後、静岡に本店があった「静岡銀行」(第1次)と合併し 64 ファイナンス 2024 Mar.路線価でひもとく街路線価でひもとく街のの歴史歴史

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