(出所)Datastream(出所)中国国家統計局【図表1】中国の不動産指標(前年比、%)【図表2】中国の実質GDP成長率(前年同期比:%)50403020100▲10▲20▲3017171717171717171717172012201320142015201620172018201920202021202220151050▲5▲101992199520002005主要70都市加重平均1線級都市2線級都市3線級都市2010201520202023(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(出生中位・死亡中位仮定)(出所) UN,World Population Prospects 2022(歳)90-9480-8470-7460-6450-5440-4430-3420-2410-140-46,0005,000(歳)90-9480-8470-7460-6450-5440-4430-3420-2410-140-470,00050,000日本の人口(1990年)中国の人口(2022年)(千人)01,0002,0003,0004,0005,0006,0004,0003,0002,0001,0000(千人)(千人)010,00030,00010,0000(千人)30,00050,00070,000男性女性男性女性【図表3】人口ピラミッド1.はじめに海外経済の潮流 1492.日本と中国の類似点の時代に入るだろうとの見方がされているのである。本稿では、1990年代の日本と現在の中国の経済状況について比較するとともに、中国の日本化の可能性について考察を行う。まず、日本と中国の類似点について確認したい。構造面から1990年代の日本と現在の中国を比較すると、下記の類似点が挙げられる。まず、人口構造に注目すると、1990年代の日本や現在の中国は、年少人口や老年人口より生産年齢人口の割合が高いことがわかる(図表3)。他方で、人口の将来予測は、1997年時点での日本の人口推計と2022年時点での中国の人口推計を比較すると、両者とも年少人口と生産年齢人口が減少し、老年人口が増加することにより、高齢化率が右肩上がりで上昇している(図表4)。これは出生率の低下と平均寿命の上昇によるものと思われる。 60 ファイナンス 2024 Mar.大臣官房総合政策課 山本 達哉/岡本 泰/原 伸年/南 健人/ 本野 大幹/川本 将平/太田 千晴 最近、中国の日本化(ジャパニフィケーション)という言葉をよく聞くようになった。日本化とは、日本が1990年代以降、低成長・低インフレに悩まされた「失われた30年」を指す言葉で、今後の低成長等を表すものとされている。1990年代以降の日本の低成長・低インフレは、(1)不動産価格をはじめとしたバブルの崩壊以降の景気の弱さからくる需要要因、(2)生産年齢人口の減少や安い輸入品の増大等の供給面の構造要因、(3)銀行の金融仲介機能低下による金融要因を背景とするものであったとの指摘がある。足もと中国でも、不動産投機を警戒する中国政府の規制等を背景に不動産市場が停滞しているほか、実質GDP成長率も過去と比較すると低い伸びにとどまっているなど、持ち直しの動きに足踏みがみられている(図表1、2)。このような中国経済の現状は、バブル崩壊後の日本経済と似通っており、今後は日本のように長い低成長30年前の日本と現在の中国の比較
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