ファイナンス 2024年3月号 No.700
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*25*26本日、入札参加者に対し国債整理基金による国債の買入れのための入札の実施を通知しました。その概要は下記のとおりです。なお、本入札に係る結果公表時刻は、午後2時00分です。1.買入予定総額2.買入日3.買入対象国債4.入札の方法5.応募額一口の金額1億円又はその整数倍6.買入決定の方法コンベンショナル方式令和2年3月25日  午前11時30分7.申込締切日時8.買入決定通知日令和2年3月25日額面金額で3,000億円程度令和2年3月26日なお、上記の日に買入対象国債が引き渡されなかった場合には、日本証券業協会が公表している「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」に基づき算出したフェイルチャージを賦課します。発行済の利付国庫債券(物価連動・10年)第17回債から第24回債まで(1)希望価格較差入札ただし、価格較差の刻み幅は1銭(2) 銘柄毎の基準価格は、本日付で日本証券業協会が発表した公社債店頭売買参考統計値表に掲載された平均値の単価とする。(3) 買入最大価格較差の上限は+62銭とし、価格較差が+63銭以上の応札は無効とする。記令和2年3月25日財務省図表13 国債整理基金による買入消却に係る国債の買入れのための入札*25) 国債投資家懇談会(第82回)議事要旨を参照。*26) 国債投資家懇談会(第82回)議事要旨では「まず、3月中に、3,000億円の追加の買入を、買入最大価格較差の上限を設定した競争入札の形で1回実施したいと考えている。この上限の具体的な値は、オファー時に正式にお伝えすることとなるが、買入価格が100円となる水準とする。ただし、銘柄ごとに基準価格が異なることから、買入価格が100円とならない銘柄もある。なお、実施にあたっては、事務の関係上、結果公表時刻を通常の12時35分から14時に変更することとする」としています。なお、2020年3月25日付の売買参考統計値(平均値の単価)は当時カレントである24回債は99.38円でした。もっとも、例えば23回債は99.63円などであり、価格較差である+62銭を適用した場合、単価が100円とはならない点に注意してください。本文で説明したとおり、2020年3月25日に、財務省は物価連動国債について、3,000億円という大規模な買入消却を実施しました。その背景には、市場参加者から「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うリスクオフ地合いに加え、原油価格の下落に伴って、グローバルに物価連動債が売られ、需給が大幅に悪化していることから、4-6月期における物価連動債の発行を減額すること、あるいは、買入額を大きく増額することが望ましい」などの指摘がなされたことがあります*25。もっとも、発行当局が高値で購入することを防ぐため、この3,000億円の買入を実施するうえで「買入最大価格較差の上限は+62銭とし、価格較差が+63銭以上の応札は無効とする」という条件が付されました(図表13が入札の応札前に業者に通知された情報ですが、「入札の方式」にその点が記載されていることが確認できます)。なお、ここでの62銭はカレント銘柄の買入価格が100円となる水準として設定されています(カレント以外は買入価格が100円とはならない点に注意してください)*26。これは流動性が枯渇した時に、入札方法も工夫しつつ対策を行った大変興味深い事例だと考えています。 48 ファイナンス 2024 Mar.BOX 2  価格上限を設定した入札の事例: 財務省によるコロナ禍の買入

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