2023/102023/072023/042023/012022/102022/072022/042022/012021/102021/072021/042021/012020/102020/072020/042020/012019/102019/072019/042019/01(億円)30,000買入消却日銀による購入額25,00020,00015,00010,0005,0002009201020112012201320141.50.5-0.5(出所)Bloomberg国債発行額:右軸201520162017201820192020202120225年10年(億円)25,00020,00015,00010,0005,000202300210 (1)BEIに基づき満期の元本を推定(2)推定された元本を用いてアモチ・アキュムを計算現時点図表10 物価連動国債の発行額、日銀購入、財務省による買入消却の推移図表11 BEIの推移(%)図表12 物価連動国債におけるアモチ・アキュムの計算のイメージ物価連動国債入札BEIで算出された元本満期時間*20) 下記を参照ください。 *21) 国債市場特別参加者会合(第100回)の議事要旨を参照。*22) 企業会計基準適用指針第12号に、「なお、物価連動国債は、償還金額及び総受取利息金額のいずれも確定していないため、満期保有目的の債券としてhttps://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/proceedings/outline/210323.html計上することはできない」と記載されています。*23) 「物価連動国債について、組込デリバティブのリスクが現物の金融資産の当初元本に及ぶ可能性が低いといえるものとして区分処理せず、その他有価証券とした場合には、他の債券と同様に、まず償却原価法を適用し、その上で償却原価と時価との差額を評価差額として処理する」(金融商品会計実務指針第74項)とされています。*24) 日本経済新聞「投げ売り価格≠時価、金融資産算定で会計基準委指針、先行欧米と足並み」(2008/10/29)などを参照。ファイナンス 2024 Mar. 474.4 会計処理た市況の大幅な悪化を受けた異例・臨時の措置であり、これが常態化することは望ましくないと考えている」*20と指摘しており、コロナ禍に発生した低流動性が改善する中、コロナ禍以前の状況に戻していく努力をしてきました。図表10に記載しているとおり、2022年以降、物価連動国債の発行量が徐々に増えるとともに、日銀及び財務省による買入総額が減少傾向にあることが確認できます。前述のとおり、そもそも物価連動国債市場には流動性の問題がありましたが、特に、コロナ禍以降、原油高や世界的なインフレを背景に、我が国の物価が上昇する期待が生まれたことから、BEIが上昇しています(図表11を参照)。財務省は、「銘柄別の動きをみても、バラつきは引き続き大きいものの、全ての銘柄でBEIが大きく上昇している」と指摘しており*21、物価連動国債の発行量をこのタイミングで2,000億円から2,500億へ増加させています。また、コロナ禍により500億円へ増額していた買入消却の金額を従来の200億円へ戻しています。物価連動国債は会計処理にも特徴があります。アモチ・アキュムの概要については、服部(2023)の第6章のBOXを見ていただきたいのですが、通常の国債の場合、100円で償還されるところ、物価連動国債の場合は、インフレの度合いによっていくらで償還されるかが変わります。図表12が物価連動国債のアモチ・アキュムを計算するイメージですが、(1)その時点におけるインフレ予測(BEI)を用いて、満期における償還額を計算し、(2)満期時に、その償還額になることを前提にアモチ・アキュムを計算します。なお、物価連動国債の会計処理は、満期に受け取る金額が確定していないことなどを背景に、満期保有目的債券という区分が活用できない点も特徴です*22。物価連動国債に含まれるデリバティブに相当する部分については区分処理をする必要がないとされています*23。物価連動国債は金融危機時に会計処理の変更についての議論がありましたが*24、筆者の理解では、会計処理の変更はなされませんでした。
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