ファイナンス 2024年3月号 No.700
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・ OECD加盟国31か国(豪州、オーストリア、ベルギー、カナダ(議長)、チリ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、韓国、スロヴェニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国)【写真1:長官集合写真】・ OECD非加盟12か国・地域(ブラジル、ブルネイ(招待国)、ブルガリア、カンボジア(招待国)、クロアチア、ジョージア、香港、インド、インドネシア、ラオス(招待国)、マレーシア、中国、フィリピン(招待国)、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、ベトナム(招待国))Agoda(Booking Holdings Group)、Anglo American、Baker McKenzie、DBS Bank Ltd、Deloitte Consulting、EY、Grab、IBM、KPMG Advisory LLP、Procter & Gamble、PwC、RAJAH & TANN SINGAPORE LLP、SAP、Siemens AG、Singapore Chartered Tax Professionals、Singapore Telecommunications Ltd、Sony、Temasek International Pte Ltd、Unilever *1) 43の参加国・地域は以下のとおり。 *2) 参加企業は以下のとおり。 1.OECD税務長官会議(FTA)の概要FTAは、税務行政の幅広い分野における課題について、各国の知見・経験の共有や意見交換を行うことを目的として、OECD租税委員会の下に2002年に設置された、税務当局の長官級のフォーラムである。現在はOECD加盟38か国及び非加盟15か国・地域が参加している(2023年よりクロアチアが新規加盟)。当初は約1年半ごとに開催されていたが、税務当局間の協力の重要性が高まったことから、2019年以降は毎年開催されている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け2021年まではオンラインにて開催されていたが、今回は前回会合同様、対面形式で開催された。今回の会議には、合計43か国・地域の長官クラスが参加したほか、アフリカ税務行政フォーラム(ATAF)、米州税務長官会議(CIAT)、国際通貨基金(IMF)及び太平洋島嶼国税務行政協会(PITAA)と昨年10月11日(水)~13日(金)に、シンガポールにおいて、第16回OECD税務長官会議(FTA:OECD Forum on Tax Administration)が開催された。会議にはOECD非加盟国・地域を含む43か国・地域*1の税務当局の長官クラスが参加し、税務行政における様々な課題に関する議論が活発に行われた。我が国からは、住澤整国税庁長官ほかが出席した。本稿ではFTAの概要、今回の会議における主要議題の背景及び議論の概要について説明する。なお、本文中の意見は筆者個人の見解を示したものである。いった国際機関のリーダーに加え、19の民間企業*2の代表が参加し、幅広い参加者により活発な意見交換が行われた。2019年のFTA本会合において、経済のデジタル化に即した税務行政の在り方を検討すべきとの認識が共有され、以降のFTAの作業計画では、税務行政のデジ2.第16回FTAにおける主要議題の背景今回のFTA本会合では、(1)税務行政のデジタルトランスフォーメーション、(2)2つの柱の解決策の実施と税の安定性、(3)税に関するキャパシティビルディングの3点が主要な議題として取り上げられた。以下では、税務行政に関する国際的な議論の場において、上記3点への関心が特に高まっている背景について簡単に紹介する。 28 ファイナンス 2024 Mar.国税庁 国際業務課 課長補佐 深澤 舞(1) 税務行政のデジタルトランスフォーメーション第16回OECD税務長官会議(於:シンガポール)

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