ファイナンス 2024年2月号 No.699
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ファイナンス 2024 Feb. 5 写真 4 主税局調査課 係長 亀遊 竹虎ないのでしょうか。亀遊係長 一番大きな要因として、少子高齢化が挙げられます。30年前と比べても、社会保障以外に充てている予算はそれほど増えていないのですが、医療や介護、年金に係る費用である社会保障費はどんどん増加しています。長谷川ミラさん 少子高齢化が課題ということであれば、なぜもっと少子化対策に費用をかけてこなかったのでしょうか。亀遊係長 少子化対策は今まさに改革の途上にある分野だと思います。消費税率を5%から段階的に10%に引上げた際には、その税収を子育て分野にも充てられるようになり、年々予算は増加してきました。また、今後も児童手当の拡充など、子育てや教育に関する経済的な負担を軽減するための政策もさらに充実させようとしています。長谷川ミラさん そうは言っても、私たち若い世代は、制度を利用する機会が少ないにも関わらず、負担が大きいように感じてしまいます。阪井広報室長 まさに、社会保障費の大きなところは年金と医療費で、高齢者が増える中で増大しています。一方で、高齢者の方の中にも資産や所得のある方などもう少し負担を頂ける方もいると考えていて、今見直しを検討している部分ではありますが、実際に2022年10月からは、医療費について、一部の高齢者の方の窓口負担は、1割から2割になっています。島貫署長 このような中で若い世代が、子供を産みたくないなと思っている一番の要因ってどこにあると感じていますか。長谷川ミラさん すごくシンプルに言うと、世の中が今ハッピーではないからなのではないかなと思います。税金が高いからとかそういう理由だけではなくて、「産んでも幸せじゃない、だって私が幸せじゃないし」という感じで、こんな世の中に産んだら子供がかわいそうという意見も私の周りにはいますね。もちろん金銭面の話もあって、自分が食べていくだけでも精一杯なのに子供を産もうという思考にならないというのもあると思います。まず、自分を満足させて心の豊かさを得ないとそういう発想にもならないと思います。ただ、豊かさといっても贅沢がしたいとかではなく、カフェで少し大きいサイズのものを買うとか日常の中で小さな幸せを感じられる余裕みたいな…。ですが私は全部が国のせいだとは思っていません。日本人は文句が行政に行きがちですが、給料上げたいのだったら、まず自分の勤めている会社に声をあげるべきじゃないですか。あまりにも国に言いすぎている気もしています。亀遊係長 政策の効果が十分に届いて、社会がより良い方向に変わっていくことで、必要な負担への納得感も生まれてくる。お話を伺う中で、こうしたサイクルを構築していく必要があると感じました。また、今後も人口減少や少子高齢化が進む中で、受益と負担のバランスをどのように図っていくか、社会全体で考えていくことが重要です。長谷川ミラさん 社会保障についていえば、日本は今後、高福祉高負担の社会に向かっていくのか、あるいは税負担は低いが福祉にはある程度の自己負担を求めていくのか、皆さんはどちらがいいと思いますか。島貫署長 自分で色々できる人にとっては税負担が少ない方が自由がきくと思いますけど、今の制度ならば自分が病気になったときなどにしっかりサポートがあるということもあって、悩ましいなと思いますよね。様々な声が上がる中で、国民の皆さんはどちらがいいと思っているのか気になります。亀遊係長 長谷川さんはコメンテータをされる中で、視聴者の皆さんが思っていることを代弁することもあれば、自分の感じていることを強く発信していくことの双方必要な場面があるかと思いますが、普段はどう情報発信について

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