ファイナンス 2024年2月号 No.699
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財務総合政策研究所 総務研究部 研究企画係長 升井 翼研究員 野村 華・「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」財務総合政策研究所総務課長 川本 敦総括主任研究官 鶴岡 将司[プロフィール]河野 真理子 早稲田大学法学学術院教授 東京大学教養学部卒業後、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了、ケンブリッジ大学法学修士課程修了、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程退学。筑波大学社会科学系助教授を経て、2004年より現職。専門分野は主に国際法、国際海洋法。総合海洋政策本部参与、交通政策審議会海事分科会長、関税外国為替等分科会委員、司法試験考査委員等を歴任。財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、年4回程度、「フィナンシャル・レビュー」(以下、「FR」)という学術論文誌を編集・発行しています。今月のPRI Open Campusでは、今月刊行された、「自由貿易体制の新展開」をテーマとしたFR第155号について、責任編集者を務めていただいた河野真理子早稲田大学教授にインタビューを行い、本特集の問題意識や、それぞれの論文の読みどころなどについて、「ファイナンス」の読者の皆様に、分かりやすく紹介していきます。28・フィナンシャル・レビュー「自由貿易体制の新展開」の見所責任編集者 河野真理子教授に聞くを開催しています河野先生には以前にもFR第140号(特集「現代国際社会における自由貿易に関する条約体制の諸相」、令和元(2019)年11月刊行)の責任編集者を務めていただきましたが、それから4年を経過した今の時点で、改めて本特集号を企画していただくにあたり、前号との関連性や新たな動機・問題意識について教えてください。第140号では、WTO交渉の行き詰まりから、WTOに代わる枠組みとしてのFTA/EPAに重点を置く形の特集を組みました。実は最初に第155号の企画を出した時は、特にWTO改革において紛争解決制度が一番大きな問題を抱えていた時期でしたので、どちらかといえばWTO改革にシフトするような特集を考えていました。ところが、新型コロナウイルス感染症の発生によって世界経済の在り様がかなり変わってきており、WTO改革にこだわらず、感染症対策も踏まえ、現在及び今後の国際社会において自由貿易がどのような位コラム フィナンシャル・レビューとは財政・経済の諸問題について、第一線の研究者や専門家の参加の下に、分析・研究した論文をとりまとめたものです。1986年から刊行を続けており、2022年12月には通巻第150号を迎えました。フィナンシャル・レビュー 「自由貿易体制の新展開」の見所 責任編集者 河野真理子教授に聞く1. 本特集号を企画・編集するにあたっての動機や問題意識 80 ファイナンス 2024 Feb.

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