86420▲2▲4▲6▲8ファイナンス 2024 Feb. 75123456789 20232022コラム 海外経済の潮流 148(%)家計消費GDP成長率(前年同期比)302520151050▲5▲10▲15ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ20192020*3) トルコ中銀は最新のインフレレポート(2023年11月2日付)において、今般の物価上昇の要因となっている通貨安や賃金上昇などの影響について、ほぼ物価に反映されたとしており、物価上昇率は2024年末に前年同月比+36%まで低下すると予測している。政府消費外需ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ20212022在庫投資ⅠⅡⅢ2023(図4:小売売上高)(季調済前月比、%)(ポイント)5251504948474645444342消費者信頼感製造業PMI(右軸)12345678910111212345678910112023また、誤りについては筆者に帰する。(出所)トルコ統計局、トルコ中央銀行、ブルームバーグ。に影響を与える動きが示唆されるなか、インフレの基調的な低下がうかがわれる」との見方を示している。*3今後の金融政策運営については、「インフレ動向を注視しつつ、あらゆる手段を断固として行使する」という従来からの考えを改めて強調しているが、先述した利上げ局面の終了を示唆する文言からも、利上げ幅の縮小と終了の方向性は市場関係者の間でも概ねコンセンサスとなっている。トルコ経済は2020年前半のコロナショックを乗り越え、同年後半以降は景気拡大を続けている。足下(2023年7-9月期)の実質GDP成長率は前年同期比で+5.9%となり、2023年6月から始まったトルコ中銀による利上げ後も、トルコ経済は堅調に推移している。(図3:GDPと需要項目別内訳)総固定資本形成需要項目別でみると、家計消費の寄与度は+7.7%ptとなり、引き続き成長を牽引した。また、2023年2月に発生したトルコ南東部での大地震からの復興需要もあり、総固定資本形成の寄与度も+3.4%ptとなった。外需については、リラ安などを要因に輸入の伸びが輸出の伸びを上回っており、寄与度は▲2.6%ptとなった。経済成長を牽引している消費動向であるが、月次ベースの指標である小売売上高をみると、足下では前月比で2ヶ月連続の低下となり、減速感が出始めている可能性はある。家計及び企業のマインドをみると、足下で共に低下傾向にあることが分かる。金融引き締めが続く中においてもなお高水準にある物価の動向が家計のマインドを下振れさせているとみられる。企業のマインドについては、トルコの主な輸出先であるEUの景気に不透明感があることなどが要因とみられている。OECDによる最新の経済見通しにおいても、控えめなマインドや高水準の物価の状況が家計消費を抑制するとして、2023年通期の経済成長率は前年比+4.5%と予測する一方、2024年通期の経済成長率は同+2.9%に減速すると見込んでいる。(図5:家計と企業のマインド)(ポイント)1009080706050403020100今後のインフレ率の状況次第では、堅調なトルコ経済を牽引している家計消費に更なる下押し圧力がかかることも考えられるため、金融政策の動向を中心に、状況を注視していく。(注) 文中、意見に及ぶ部分は筆者の私見である。 (1)足下のマクロ経済(2)今後の見通し3.足下のマクロ経済と今後の見通し4.おわりに
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