ファイナンス 2024年2月号 No.699
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ファイナンス 2024 Feb. 71 令和5年度上級管理セミナー講師略歴田中 進(たなか すすむ)株式会社サラダボウル 代表取締役山梨県中央市(旧田富町)出身。横浜国立大学国際経営学部卒業後、株式会社東海銀行(現三菱UFJ銀行)、プルデンシャル生命保険株式会社に勤務。「日本の農業の新しいカタチを創りたい」との強い想いを胸に、2004年に株式会社サラダボウルを設立し、農業に参入。現在、岩手県から福岡県まで全国10か所に農場を展開。をかけられて補助金の申請をした時に、「農業者がパソコンに向かって、データを収集したり、それを整理して分類するなどとんでもない、それは農業ではない」と言われたことがありました。当時は、随分ばかにされていると思いましたが、今、どんどんそういう考えが見直されてきていますので、最終的には、小さいながらも地域のハブ産業になっていけるのではないかと感じています。アメリカのウィリアム・ウォードという人の言葉に私たちもすごく共感をして、ずっとこれが社内でも使われています。こういう言葉です。「平凡な教師は指示をする。良い教師は説明する。優れた教師はやってみせる。偉大な教師は心に火をつける」本当に情熱を持って、やりたい、と言って入ってきてくれる人がたくさん来てくれるようになりました。いかに私たちは彼ら、彼女たちにその場を担保してあげられるか、用意してあげられるか、にかかっているなと思っています。そういう取組をいろいろやっていく中でも、7、8年ぐらい前に「人を育てている時代ではもうないな」と思ったときがあったのです。その時にHR(Human Resources:人的資源)を専門にしている先生から教わったのが、「リーダーの仕事は、自分より優秀な次のリーダーを育てることだ」という言葉でした。私たちがやらなければいけないのは、人を育てるだけではなく、「人を育てられる人」を育てることだと思います。難しい課題ですが、こうしたことにずっと取り組んでいきたいと思っています。小さな会社であっても、人、知、技術、これらが本当に積み上げられていけば、農業も他の産業と何ら変わらなく、もっとたくましく、しなやかな産業になっていくのではないかと思っています。イベントのような地域づくりや浪費するような地域づくりイベントではなく、もっともっとそこに住み、少しでもその地域を良くして、次の時代に引き渡していく、そんなことができればいいな、と思っています。私たちは次の2つのことを強く感じています。「農業の課題は、農業界だけでは解決できない」「地域の課題は、その地域だけでは解決できない」ということです。ですので、これまでも40社を超える他産業、様々な人たちと業務提携を行ったり、また地域を飛び越え、国を飛び越え、いろいろな解決策を探したり、というように取り組んできました。そして今、農業がスピード感とスケール感を伴って、ダイナミックに成長できる時代がやってきた、と思っています。ご清聴ありがとうございました。(以上)最後に「農業にはいろいろなカタチがあり、そのカタチは変わっていく。新しいカタチにとても大きな可能性がある」ということを本日申し上げました。農業にはいろいろなカタチがあります。私たちもその中の一つのカタチでしかありませんが、農業の可能性に、またその地域の中での価値創りの可能性にさらに挑戦をしていきたいと思います。(1)サラダボウルの人材育成(2)農業がダイナミックに成長する時代に5.農業がダイナミックに成長する時代に

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