ファイナンス 2024年2月号 No.699
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ファイナンス 2024 Feb. 3 島貫署長 本郷税務署の島貫です。直前は、主税局という税制を作る部署に2年間いました。今年の7月からは本郷税務署長として勤務しており、そこでは地元の方とお話しするなど、国民の皆さまの声を聞く機会が多くあります。亀遊係長 財務省主税局の亀遊です。入省5年目ですが、今年の7月から初めて主税局に勤務しており、様々な税目を横断的にみながら、より中長期的に税について考える仕事をしています。国民の声が届いているかという点ですが、率直に言えば、すごく届いていますし、影響を受けていると感じています。税制は国民生活や企業行動と密接に関係しているので、様々な方々と議論をしながら作られていくのですが、テレビ等でのコメンテータの方の発言や世論調査の結果、SNSで話題となった内容なども、国会議員やメディアの皆さんなどからよく疑問や意見をいただくので、我々もそれをよく注視して、どう応えていくかということを常に考えています。長谷川ミラさん なるほど。そうすると、国民の声をよく聞いているのに、財務省にここまで様々な意見が寄せられているなど、国民に理解を得られていないのはなぜなのでしょうか。例えば、「迅速な対応が必要」と言いつつ、今困っているのにできていないのは何でなんだろうと思ってしまいます。島貫署長 実は財務省内では幹部まで話を通すのはすごく早いです。「これやるぞ」となったらものすごいスピードで検討していきます。ただ、税制などは法律で決められているため、国会に提出して承認を得る必要があり、また、法律を提出できる期間が決まっていることもあり、すぐに実現させるのはなかなか難しいところがあります。長谷川ミラさん 税金関係でいうと、税と社会保険料の負担が高いと言われていたり、2023年の「今年の漢字」が「税」になったりしていて、私は正直「やっぱりな」と思っていますが、それに対して皆さんはどう感じていますか。島貫署長 国民の皆さんが「税」という言葉のどこに引っかかって、「今年の漢字」に選ばれたのかなと気になって考えていました。税金や社会保険料の存在に加え、物価の高騰もあって負担感が増えていたことに対して、「政府はどう写真 2 長谷川ミラさん思っているんだ」という声が「税」に集結したものなのではないかと感じました。そうした課題に対して、本当に有効な政策が何かを考え、迅速に実行していくことは、私達にとって常に課題です。亀遊係長 税金を払う側として、なるべく負担は少ない方が良いというのは普通の感覚で、私自身も減税されるのだったら正直嬉しいです(笑)。一方で、税は社会を支えていくために必要なツールで、日々利用している医療や子育て、インフラなど、その恩恵を受けている部分もたくさんあります。社会のニーズの変化とともに、そうした使い道や、それを支える税制についても議論が必要で、両者をセットで考えていただけたらと思っています。長谷川ミラさん 全く税金をとられたくないと思っている人は誰もいないと思います。ただ、これはメディアの報道の仕方にも問題がありますが、国民としては隠すようにいつの間にか増税をされているような気がしていて、それは言葉を選ばずに言うと手段が汚いなという感想を持っています。そこにも国民が理解しづらい要因があるのではないでしょうか。長谷川ミラさん 税や保険料の負担が増しているという部分について、どうやっても税金の負担を増やしていかないといけないのでしょうか。例えば、国会議員の給料は世界的に比べて高いと言われていたり、選挙を行うのにものすごく費用がかかったり、そうした支出を削減してもどうにかならないのでしょうか。亀遊係長 前提として、国民負担を考える際に、まず税の現状について

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