ファイナンス 2024年2月号 No.699
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ファイナンス 2024 Feb. 65 食という字は「人」を「良」くする、と書きますが、サラダボウルグループは「食を農業で変革したい」と考えています。農業そのものを、「安心して」「誇りをもって」「夢中になれる」仕事にしていきたい。農業という仕事は、関わる人、パートや社員だけではなく、例えば、それを運んでくださる運送会社、運ぶためのダンボールを納品してくれる会社、商品を作るためのパッケージを作ってくれる会社、またそれを売ってくださるスーパーマーケット、というように本当に多くの人たちと関わりを持ちます。農業という一つの仕事を通じて、「関わる人を幸せに」して、「社会を豊かに」する。特に私たちの場合は、田舎で事業を行うことがほとんどですが、その田舎を「価値ある地域」にしていきたいという思いを持っています。これが、私たちサラダボウルグループが創っていきたいと思っている「農業の新しいカタチ」です。はじめに皆さんこんにちは。株式会社サラダボウルを経営しております代表の田中と申します。本日1時間半ほどお時間をいただきまして、弊社グループの取組をご紹介させていただきながら、私自身の自己紹介も途中織り交ぜつつ、今どういう展開をしていて、今後どんなことをしていきたいと思っているかという話をさせていただければと思います。1.創業当初まで「農業にはいろいろなカタチがあって、そのカタチは、もっともっと変わっていく。その変わっていく先、新しいカタチにとても大きな可能性がある」ということを感じています。こうしたことを現場目線でお伝えできればと思っています。今では「農業は本当に面白い、すごく可能性がある」と思って経営をしていますけども、昔からそうかというと、全くそんなことはなく、真反対でした。私自身は農家の次男ですが、親の後を継ぐとか、農業するなんていう選択肢は微塵もなく、親からも「お前たちの時代は農業する時代じゃない。勉強して学校行って、いい就職先を見つけろ」と言われていました。イ)金融機関勤務で得た経験・想い農業の道を志すきっかけには、働き始めてから出会いました。私は平成7年に東海銀行に入行し、5年間勤務した後に、プルデンシャル生命という保険会社で5年間勤務しました。金融機関勤務10年間で様々な業種、業態の経営者の方々、いろいろな会社とお付き合いをさせていただき、その中でのいろいろな経験や想いが、創業するきっかけになっています。例えば、小さな町工場を経営し、売上5億円ぐらいで、工場もすごく古くて、工作機械もすごく古い。でも、20%ぐらい営業利益が出ている。何でこんなところがこんなに業績がいいのだろうと工場に行くと、5S活動やQCサークルなど、現場改善といった取組をしている。古い工場で古い工作機械だけど、すごく手入(1)食を農業で変革したい令和5年9月28日(木)開催(2)サラダボウル創業までの経緯ア)かつては農業に対して否定的だった講師演題田中 進田中 進 氏 氏(株式会社サラダボウル 代表取締役)(株式会社サラダボウル 代表取締役)農業にイノベーションを!農業にイノベーションを!〜サラダボウルの挑戦〜〜サラダボウルの挑戦〜令和5年度 上級管理セミナー

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