(写真1)G7財務大臣・中銀総裁会議の会場(新潟)(写真2)鈴木財務大臣とウクライナのマルチェンコ財務大臣の面会(写真3)G7財務大臣・中銀総裁会議の様子日本議長下におけるG7財務トラックでは、ウクライナへの支援を優先事項として1年間継続して取り上げてきた。ウクライナのマルチェンコ財務大臣には、今年開催したすべての大臣・総裁級会合に参加いただき、議論を行った。ロシアのウクライナに対する侵略戦争の開始から1年を迎えた2023年2月には、ロシアに対する強い非難とウクライナに対する揺るぎない支援を表明する共同声明を発出している。また、G7として2023年中の約400億ドルの財政支援を表明し、これを背景に国際通貨基金(IMF)でも総額156億ドルの支援プログラムが合意された。IMFの支援プログラムの下、ウクライナ政府によるガバナンス強化等の改革も進展している。更に、2024年もG7として300億ドル超の貢献を表明するなど、ウクライナの財政ニーズの充足にコミットしていくことで一致している。この他、ウクライナに対する侵略戦争を受けた対ロシア制裁については、資産凍結をはじめとした制裁措置の継続・対象拡大に加え、制裁の迂回政策やプライスキャップ制度の遵守強化を含め、制裁の実効性を強化する取組を推進した。また、ロシアがウクライナの長期的な再建の費用を支払うようにする観点から、各国の法制度や国際法と整合的な形で、凍結されたロシア国家資産の活用についてのあらゆる可能な方策を探求した。2.日本議長下における財務トラックの成果2.1.厳しさを増す国際情勢への対応(1)気候変動、持続可能性気候変動に対応し、経済・社会の持続可能性を確保することはグローバルな喫緊の課題であり、G7としても様々なアプローチを通じて対応を進めてきた。まず、低・中所得国がクリーンエネルギー関連製品のサプライチェーンにおいてより大きな役割を果たせるよう協力するパートナーシップであるRISE(強靭で包摂的なサプライチェーンの強化)を、日本主導の下、非G7を含む有志国・世銀とともに創設した。創設に伴い、10月にモロッコ(マラケシュ)で開催された世銀・IMF総会の機会に、日本、世銀のほか、ドナー国の韓国、カナダ、イタリアや、被支援国となりうるチリ、インドが参加する立上げイベントを開催した。なお、ドナー国からはこれまで計5,000万ドル超の資金貢献が表明され、12月にはインドで情報共有プラットフォームを開催するなど、既に活動を開始している。2.2. 世界経済の強靭化・グローバル課題の解決 56 ファイナンス 2024 Feb.
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