ファイナンス 2024年2月号 No.699
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[2]. 太田智之(2016)「債券運用と投資戦略【第4版】」きんざい[3]. 服部孝洋(2023)「日本国債入門」金融財政事情研究会. 531)×-(m-1)月10日に適用される+(m月10日に適用される[5]. アンドリュー・アング(2016)「資産運用の本質−ファクター[6]. 渡辺努(2022)「物価とは何か」講談社ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)入門参考文献[1]. 安達孔・平木一浩(2021)「インフレ予想の計測手法の展開:市場ベースのインフレ予想とインフレ予想の期間構造を中心に」Research LAB No.21-J-1. 服部孝洋(2024)「物価連動国債入門ー基礎編ー」『ファイナンス』, 31-39.測力」New ESRI Working Paper No.43.投資への体系的アプローチ」きんざい(m-1)月10日に適用される消費者物価指数消費者物価指数105.7+(106.4-105.7)消費者物価指数≒105.813(m-1)月11日から m月n日までの日数(m-1)月11日から m月10日までの日数[4]. 増島稔・安井洋輔・福田洋介(2017)「予想インフレ率の予まず、(1)における「m月10日に適用される消費者物価指数」は、12月10日に適用されるコアCPIに相当し、これは2023年9月のCPI(105.7)です。次に、(2)における「(m+1)月10日に適用される消費者物価指数−m月10日に適用される消費者物価指数」は、この例では「2024年1月10日に適用される消費者物価指数−2023年12月10日に適用される消費者物価指数」に相当します。2024年1月10日に適用されるコアCPIは、2023年10月のコアCPIが106.4であるため、(2)における「(m+1)月10日に適用される消費者物価指数−m月10日に適用される消費者物価指数」は「106.4−105.7」になります。最後に、(3)「(n−10)/(m月11日から(m+1)月10日までの日数)」に注目すると、nが15であることに注意すれば、(3)は「(15−10)/(2023年12月11日から2024年1月10日までの日数)=5/31」となります。したがって、上記を計算すると、となります。連動係数の分母は「発行日の属する月」のコアCPIであり、この場合、104.1ですから、105.813/104.1≒1.01646という形で、連動係数が再現できました。この計算プロセスからわかるとおり、連動係数は基準となるコアCPIを軸にして、10日を超える場合、翌月のコアCPIの水準を経過した日数を加味して線形補間しています。(3)n<10の場合これは10日以前の適用指数を計算するにあたり、前月の10日のコアCPIを軸にして、その月に公表されるCPIを用い、経過した日数を加味して線形補間していると解釈されます(こちらについては「n>10」の事例と考え方は同じであるため、具体例は省略します)。なお、消費者物価指数はある年を基準としており、その基準が定期的に入れ替わります。例えば、CPIの基準は平成22(2010)年から平成27(2015)年へと変わっています。この変更に伴いCPIの動きが非連続になるのですが、連動係数を計算するうえでその変更に伴う調整も必要である点に注意してください。例えば、平成28年9月11日以降の連動係数の算出方法には、「平成28年9月10日における適用指数(平成22年基準)/平成28年9月10日における適用指数(平成27年基準)」が掛けられることで調整がなされています。5.終わりに今回は物価連動国債における、期待インフレ率やBEIについて説明しました。今回はフロア・オプションなどについては触れられなかったため、次回はこれらの個別論点について説明することを予定しています。 54 ファイナンス 2024 Feb.

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