ファイナンス 2024年2月号 No.699
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+((m+1)月10日に適用+((m+1)月10日に適用(2)n>10の場合ファイナンス 2024 Feb. 53 ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)入門m月10日に適用される消費者物価指数m月10日に適用される消費者物価指数(1)*13) 財務省のウェブサイトでは、「発行日の属する月」について「初期利子の支払期までの期間が6か月に満たない場合は、初期利子の利払期の6か月前の日の属する月をいいます」と記載されています。現在発行されている物価連動国債の利払月は3,9月ですから、年度前半に新たな銘柄が発行された場合、その初期利子の利払期は9月になり、「発行日の属する月」はその6ヶ月前である3月になります。従って、その適用指数はさらにその3ヶ月前である、前年12月のコアCPIになります。される消費者物価指数-m月10日に適用されるされる消費者物価指数-m月10日に適用される(m-3)月の消費者物価指数消費者物価指数)×消費者物価指数)×(2)n-10m月11日から (m+1)月10日までの日数n-10m月11日から (m+1)月10日までの日数(3)(1)n=10の場合前述のとおり、10日は実際のコアCPIになりますが、コアCPIの公表にはラグがあるため、3か月前のコアCPIが参照されます。「n>10」はある月における11日以降を意味しますが、仮に適用指数を計算する日が15日であれば、10日に使用したコアCPIを軸に、その翌月のCPIの情報を加味する必要があるといえます。上記の式は、10日のコアCPIを軸に、それ以降に公表されるコアCPIを用いて線形補間をしているイメージです。具体例として、例えば2023年12月15日の連動係数(第28回債)を考えます(これは15日なので「n>10」の事例になっています)。この日の連動係数は、1.01646と公表されているのですが、この値を算出するため、下記のような順番((1)〜(3))で考えていきます。÷発行日の属する月の10日における適用指数(小数点以下第6位(平成28年3月31日以前に発行された物価連動国債については、小数点以下第4位)を四捨五入)このように連動係数は「適用指数の比率」であることがわかります。分子及び分母の適用指数には、コアCPIの数値が使われます。連動係数の分子(m月n日における適用指数)は、その時点における3か月前のコアCPIになります(3か月前となっている理由は、前述のとおり、発行した時点でその月のCPIはまだ発表されておらず、3か月前のコアCPIであればすでに発表済みであるからです)。連動係数の分母(発行日の属する月の10日における適用指数)は、当該物価連動国債の発行月の前年12月のコアCPIに相当します*13。連動係数の定義の中に、「発行日の属する月の10日」とありますが、これは物価連動国債の利払・償還日が3月10日または9月10日であることが理由と考えられます。実際、適用指数は、毎月の10日に実際のコアCPIと一致するように作られています。最後に具体例を取り上げます。例えば、第28回債の2024年1月10日の連動係数の場合、第28回債の発行は2023年5月24日ですが、この時の「発行日の属する月の10日における適用指数」(分母)は104.1です(2022年12月のコアCPIが104.1)。一方、2024月1月10日の適用指数(分子)は106.4なので(2023年10月のコアCPIが106.4)、連動係数は106.4/104.1=1.02209となります(この値が財務省のウェブサイトで公表されています)。ここでは償還日となる10日であるシンプルな事例にしていますが、10日以外のケースについてはBOXを参照してください。BOX 連動係数および適用指数の詳細本文では10日の事例を用いましたが、日次ベースの連動係数は毎月公表されています。連動係数を計算する上で必要となる適用指数(連動係数の分子)はn=10日当日、10日以降、10日以前という3つのケースに分けて定義されています。

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