図表11 連動係数の推移の例*12) 連動係数は日次で動く一方、コアCPIは月次データであるため、後者については特定の月の間、同じ値をとります。したがって、連動係数とコアCPI(出所)財務省適用指数令和5年5月25日令和5年5月26日令和5年5月27日令和5年5月28日令和5年5月29日令和5年5月30日令和5年5月31日令和5年6月1日103.842103.858103.874103.890103.906103.923103.939103.955が完全に同じ動きをすることは原理的にあり得ません。第23回(基準CPI:100.7)1.054001.054161.054331.054491.054651.054821.054991.05515(基準CPI:101.4)1.046731.046891.047051.047211.047371.047541.047701.04786(出所)財務省及び総務省図表12 連動係数とコアCPIの推移(3か月のラグ調整後)1.121.11.081.061.041.0210.980.960.94第25回第24回(基準CPI:102.2)1.038531.038691.038851.039011.039171.039341.039501.039661314連動係数第26回第27回(基準CPI:101.1)1.049831.049991.050161.050321.050481.050651.050811.05097(基準CPI:100.0)1.038421.038581.038741.038901.039061.039231.039391.03955連動係数1516171819第28回(基準CPI:104.1)0.997520.997680.997830.997980.998140.998300.998450.998611061041021009896949290コアCPI(右側)202122動係数は低下するもののフロアがあるため満期時点では1が下限)、実際の計算は非常にテクニカルです。銘柄ごとの連動係数は、図表11のような形で財務省のウェブサイトに日次ベースで公表されます。日次で公表される理由は、実際の取引において経過利子などの観点で日次ベースのデータが必要であるからです。連動係数がテクニカルになる理由は、筆者の理解では、主に、(1)コアCPIが月次ベースである一方、連動係数は日次ベースで必要になるため、その調整が必要であることに加え、(2)コアCPIの発表が一定のラグを有するという2点に集約されます。まず、(1)については、日々売買が行われうる中、経過利子の計算などが必要になるため、日次ベースの連動係数の計算が必要なところ、コアCPIは月次ベースの統計であることから、コアCPIを日次ベースに直す必要があります。後述しますが、これについては、物価連動国債が毎年3月10日に償還される商品性になっているため、10日を軸に補間することで日次データにするという形がとられています(コアCPIは基準年との比較で算出され、基準年も変わることから、その調整も必要な点が話を複雑にします。補間方法はBOXで説明します)。(2)については、コアCPIの公表には一定のラグがあるための調整です。例えば、現在が2023年12月だとしましょう。問題なのは2023年12月時点で、その時点での消費者物価指数が得られないことです。消費者物価指数を作るには、家計の消費行動についてアンケートをとったり、典型的な財の価格をトラックするなどの作業が必要ですから、データの公表には3か月程度のラグがあります。したがって、実際に物価連動国債がトラックするコアCPIは、例えば、現在が2023年12月であれば2023年9月のコアCPIを活用するという形で、3か月前のコアCPIが参照されています。上記のような違いがあるものの、連動係数はコアCPIと本質的には同じ概念である、ということを頭に入れておくことが大切です。図表12は第17回債(最初の新型物価連動国債)の連動係数とコアCPIの推移(3か月のラグを調整後)を示していますが、類似した動きをしていることが分かります(相関係数は0.99です*12)。ここから具体的に連動係数の定義を考えていきます。ある時点における想定元本は、財務省のウェブサイトの表現を借りると、「m月n日の想定元金」と表現され、「m月n日の想定元金」は、「額面金額×m月n日における連動係数」と定義されています。「m月n日における連動係数」の定義は下記の通りになります。m月n日における連動係数=m月n日における適用指数4.3 連動係数の定義:適用指数 52 ファイナンス 2024 Feb.
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