40年債30年債20年債10年債5年債2年債(図1)各年限の金利の推移(%)2.52.01.51.00.50.0▲0.52023/12023/22023/3(出所)日本相互証券(単利)終値ベース長期金利の変動幅を「±0.5%程度を目途」に変更し、指値オペの利回り水準を1.0%に引き上げ2023/42023/52023/62023年7月28日日本銀行2023/72023/82023/92023/102023/112023/122024/12023年10月31日日本銀行長期金利の上限を「1.0%を目途」に変更理財局国債企画課長 佐藤 伸樹本稿では、令和5年12月22日に公表(令和6年1月16日に一部変更)した令和6年度国債発行計画の内容を中心として、国債発行を取り巻く最近の動きについて概要を説明したい。1.現下の国債市場の状況令和4年12月下旬に、日本銀行が長期金利の変動幅を「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大したことを受け、令和5年1月上旬にかけて金利は上昇基調で推移した。これに対し、日本銀行は、通常の国債買入オペに加え、臨時の国債買入オペ、0.5%の利回りでの10年物国債の指値オペ等を実施し、金利の上昇は小康状態となった。3月には、米国を中心に金融システム不安が強まり、景気後退懸念から米金利が低下したことや、日本銀行が金融緩和の維持を決定し、金融政策修正期待が剥落したことなどを受けて、国内金利は低下した。7月下旬には、日本銀行の政策修正観測が強まり、国内金利に上昇圧力が強まる中で、日本銀行は、金融緩和の持続性を高めるため、長期金利の変動幅について「±0.5%程度」から、「±0.5%程度を目途」とすることとし、10年物国債の指値オペの利回り水準を1.0%に引き上げ、長短金利操作についてより柔軟に運用することを決定した。その後、10月にかけては、米インフレ率の高止まりを背景とした米金利の上昇につられる形で国内金利も上昇した。10月下旬には、日本銀行が長期金利の上限を「1.0%を目途」とすることとし、長短金利操作の運用を更に柔軟化したことを受けて金利は更に上昇し、11月初頭に長期金利は一時、2013年5月以来となる0.97%を記録した。しかし、11月中旬には、米CPI(消費者物価指数)の伸びが鈍化し、FRBによる利上げの停止観測が強まったことを主因として米金利が低下したため、国内金利も低下傾向で推移した。12月上旬には、日本銀行がマイナス金利政策を解除するという見方が強まり、一時金利上昇する場面も見られたものの、12月下旬に日本銀行が金融緩和の維持を決定したことを受けて金利低下が一段と進行した。足元では、長期金利は0.6%近辺で安定的に推移している(図1)。 32 ファイナンス 2024 Feb.令和6年度国債発行計画について
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