ファイナンス 2024年2月号 No.699
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ファイナンス 2024 Feb. 25 令和6年度税制改正(国税)等について7.扶養控除等の見直し児童手当については、所得制限が撤廃されるとともに、支給期間について高校生年代まで延長されることとなる。これを踏まえ、16歳から18歳までの扶養控除について、15歳以下の取扱いとのバランスを踏まえつつ、高校生年代は子育て世帯において教育費等の支出がかさむ時期であることに鑑み、現行の一般部分(国税38万円、地方税33万円)に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(国税25万円、地方税12万円)を復元し、高校生年代に支給される児童手当と合わせ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図ることを目指す。さらに、扶養控除の見直しにより、課税総所得金額や税額等が変化することで、所得税又は個人住民税におけるこれらの金額等を活用している社会保障制度や教育等の給付や負担の水準に関して不利益が生じないよう、当該制度等の所管府省において適切な措置を講じるとともに、独自に事業を実施している地方公共団体においても適切な措置が講じられるようにする必要がある。具体的には、各府省庁において、今回の扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を網羅的に把握し、課税総所得金額や税額等が変化することによる各制度上の不利益が生じないよう適切な対応を行うとともに、各地方公共団体において独自に実施している事業についても同様に適切な対応を行うよう周知するなど所要の対応を行う必要がある。扶養控除の見直しについては、令和7年度税制改正において、これらの状況等を確認することを前提に、令和6年10月からの児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について結論を得る。ひとり親控除について、とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点から、対象となるひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額500万円以下を1,000万円以下に引き上げる。また、ひとり親の子育てにかかる負担の状況を踏まえ、ひとり親控除の所得税の控除額について、現行の35万円を38万円に引き上げる。合わせて、個人住民税の控除額について、現行の30万円を33万円に引き上げる。こうした見直しについて、令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について扶養控除の見直しと合わせて結論を得る。防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、令和5年度税制改正大綱に則って取り組む。なお、たばこ税については、加熱式たばこと紙巻たばことの間で税負担の不公平が生じている。同種・同等のものには同様の負担を求める消費課税の基本的考え方に沿って税負担差を解消することとし、この課税の適正化による増収を防衛財源に活用する。その上で、国税のたばこ税率を引き上げることとし、課税の適正化による増収と合わせ、3円/1本相当の財源を確保することとする。あわせて、令和5年度税制改正大綱及び上記の基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる趣旨を令和6年度の税制改正に関する法律の附則において明らかにするものとする。8. 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置

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