ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 68 PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 27【写真6 アンドラディ先生(前列中央)】3.おわりに2023年は4年ぶりに対面方式でのセミナー開催を実施することができ、講義を通じて日本の財政及び経済に関する知識・経験を伝えるだけではなく、実際に日本での生活を体験することで、日本の素晴らしさを実感してもらい、日本ファンを増やしていくことの重要性を感じました。世界経済の回復は継続しているもののその勢いは弱く、依然として高水準のインフレや中東情勢をはじめとした地政学的緊張、中国経済の減速懸念など、先行き不透明な状況も続いており、各国は多くの課題に直面しています。財務総研における知的支援の担当者としては、中央アジア・コーカサスセミナーの意義を常に考えながら、支援対象国の課題解決に資することを矜持としつつ、より効果的なセミナーの企画・運営に努めていきたいと考えています。(財務総研)「中央アジア・コーカサスセミナー」(主に中央アジア向け)と「財政経済セミナー」(主に東南アジア向け)の参加者の違いなどについて感じられたことなどはございますか。(アンドラディ先生)中央アジア・コーカサス地域からの参加者の多くは日本を経済大国との認識を持っています。一方で、実際の日本人や日本社会に対する認識はややおぼろげであり、日本を未知の国と感じる人も一定程度いるように感じています。この点は、私がもう一つ講義を担当する主に東南アジア諸国向けセミナー(財政経済セミナー)の参加者と異なると感じる部分です。彼ら(財政経済セミナーの参加者)は、研修で来日する以前に既に来日経験がある方やマンガやアニメなどのコンテンツを通じて日本の文化にも慣れ親しんでいる方も多くいらっしゃいます。こうした違いが中央アジア・コーカサス地域からの参加者の日本に対する認識の曖昧さに繋がっている部分があるように感じます。そのため、私の講義が彼らの日本の社会や文化に対する理解を助けるきっかけとなるよう注意を払いながら参加者に接してきました。(財務総研)先生がこれまで中央アジア・コーカサスセミナーの講師をご担当いただいた中で、何か興味深いエピソードなどがあればご教示ください。(アンドラディ先生)以前、ウズベキスタンを訪問した際、過去のセミナー参加者に偶然再会したことがあります。ウズベキスタンの首都であるタシュケント訪問時、そこでかつてのセミナー参加者から声を掛けられ大変驚いた経験があります。再会の場は第二次大戦中に日本人捕虜によって建設された国立ナヴォイ劇場が隣接している広場であり、日本人にもゆかりのある場所ということで思いがけない嬉しい再会となりました。現在、そのセミナー卒業生も含め、複数の卒業生とSNSを通じた交流を続けています。

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