ファイナンス 2024年1月号 No.698
72/86

【写真5 上田先生へのインタビューの模様】*11) アンドラディ久美先生は、2007年以降本セミナーで講師を務めていただいており、研修生に対して日本の伝統文化、社会、生活について講義いただ*12) 開講当時は「日本の伝統文化」いております。とです。そのため、我々(講師)が当該地域の情勢等についての知識を更に蓄積していく必要があると感じています。講師側がこうした知識の蓄積を続ける事で、先方の立場に立って日本の経験に基づいたより適切な処方箋を提示できるようになっていくと信じています。中央アジア・コーカサスセミナーを通じた中央アジア・コーカサス諸国との交流の意義等について先生のお考えをお聞かせください。財務総研が実施する中央アジア・コーカサスセミナーは、知的支援としての意義は勿論ですが、セミナー参加者の多くは各国政府の職員等である事を踏まえると、海外の政府関係者等との人的ネットワーク作りの場として大変重要な機会だと思います。こうした機会を通じて日本を知ってもらい日本のファンを増やしていくことは日本の国益にも叶うことだと考えられます。中央アジア・コーカサスセミナーの将来のあり方についての示唆についてお伺いします。新型コロナウイルス感染症抑制のための水際措置の緩和に伴い、対面方式のセミナーが再開できたことは大変喜ばしいです。と言うのも、私が本セミナーにおいて担当する日本経済に関する講義(「日本経済について:概観」)では、日本経済の明るい話ばかりではなく「バブル崩壊」や「失われた20年」、といったテーマにも触れます。そのため、座学のみで終わってしまう場合、日本の現状について荒廃したイメージを植え付けて終わってしまいます。しかし、彼らが実際に日本に足を運び、自ら便利で安全、かつ効率的な生活等を経験すると、日本に関する印象がガラリと変わるようです。そういう意味では、日本は過去の様々な困難を経験し、現在、このような経済社会を維持しているという実態を直接目で見て肌で感じてもらうことは非常に大切だと思います。先ほども申しあげましたが、実際の日本を見てもらい日本のファンを増やしていく機会となり得るこのセミナーは貴重であり、今後も是非継続していって欲しいと考えます。一方で、セミナー開始当時と現在では内外の社会・経済状況は大きく変化しています。そのため、セミナー主催者として財務総研は、中央アジア・コーカサスセミナーを通じ、同地域の各国に支援を続ける意義はなにか、ということを常に考え続けることが重要だと思います。(財務総研)先生には長年中央アジア・コーカサスセミナーの講師を務めていただいておりますが、各国からの参加者と接する中で、セミナー参加者の熱意をどのように感じておられましたでしょうか。(アンドラディ先生)私は2007年から中央アジア・コーカサスセミナーにおいて、「日本の社会と文化」*12の講義を担当させて頂いていますが、参加者の皆さんは、日本の文化的背景から国民性、生活習慣まで多くのことを学びたいという強い思いを持っており、意欲的に講義に臨んで下さっています。こうした印象は当時もからほぼ変わってはいません。(財務総研)(上田先生)(財務総研)(上田先生)(3) アンドラディ久美先生*11(元・横浜国立大学准教授)へのインタビュー(書面) 67 ファイナンス 2024 Jan.

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る