ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 66 PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 27【写真4 ウズベキスタンBFAのKhoshimov院長】*9) 皮革・履物・毛皮産業企業協会は、ウズベキスタンにおいて主要輸出品である革製品等を製造する企業が加盟する業界団体であり、政府の政策策定にも影響力を有する。https://uzcharm.uz/en/static/12/*10) 上田衛門先生は、1981年に大蔵省(現財務省)に入省され、本セミナーの前身の「BFA夏期セミナー」開始時には国際交流室長として勤務されておりました。その後、慶應義塾大学大学院商学研究科教として御活躍であり、2018年以降本セミナーで講師を務めていただいております。生が将来的に政策の立案・実施の中核を担うにあたっての糧となり、ひいては彼らがウズベキスタンの経済成長や財政安定を実現するための重要な役割を果たすものと期待しています。(財務総研)これまでBFAから中央アジア・コーカサスセミナーに参加したセミナー卒業生は、その後どのようなキャリアを歩んでいるのでしょうか?具体的な例があれば教えてください。(Khoshimov院長)過去のセミナー修了生は皆、その後の産学官の様々なフィールドで要職に昇進しており、ウズベキスタンの政策策定に関与し同国の成長に多大な貢献をしています。特に現職で顕著な活躍を見せているのが、保険市場開発庁長官と皮革・履物・毛皮産業企業協会*9の副会長です。両名は、現在、幹部級のポストでウズベキスタンの経済財政政策の策定において重要な役割を果たしており、ウズベキスタン経済への貢献が大きいです。(財務総研)中央アジア・コーカサスセミナーに何を期待しますか?(Khoshimov院長)中央アジア・コーカサスセミナーは、BFAからの参加者が日本の経済政策や金融システムなどに関する総合的な知見を得る貴重な機会を提供してくれており、我々にとっては非常に重要な機会と認識しています。更には、BFAからの参加者が、同様の関心を持つ他国の学識者や政策担当者と繋がる機会を得ることができる事も大きな利点だと思います。今後もセミナーを通じてBFAの学生たちが国際経済の動向、経済政策、そしてグローバルな視点について深く理解できるようになること、参加者が他国の仲間たちとの貴重なネットワークを育む機会を持つことを期待しています。(財務総研)先生には、2018年以降中央アジア・コーカサスセミナーの講師(「日本経済について:概観」)をお務めいただいていますが、講師として各国からの参加者と接する中で、彼らの熱意や特色などをどのように感じておられますか。(上田先生)私は講義中、自身が説明する内容がしっかり伝わっているのかどうかを感じ取るため、参加者の表情や反応をよく観察するようにしています。日本の経験から学びたいという熱意が高い参加者は概して講義中のレスポンスが良く印象に残るものです。こうした参加者は今年のセミナーでも多く見られました。一方、参加者の熱意について、私がもう一つ講義を担当するセミナー(主に東南アジア諸国向けの「財政経済セミナー」)と比較すると、財政経済セミナーへの参加者の方が日本の経験に対しより強い切迫感を持っていた印象があります。つまり、中央アジア・コーカサス諸国が現在直面している問題に対し、日本の経験がどのような処方箋となり得るのかを的確に伝えるためには、中央アジア・コーカサス地域が現在置かれた状況を的確に理解した上で、日本の経験を伝える必要があるというこ(2) 上田衛門先生*10(慶應義塾大学)へのインタビュー

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