ファイナンス 2024年1月号 No.698
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(ウズベキスタン)へのインタビュー(書面)BFA全体の教育課程において、中央アジア・コーカサスセミナーはどのような位置づけになっているのでしょうか?横浜国立大学准教授)に対するインタビューを実施しました。(財務総研)「中央アジア・コーカサスセミナー」の前身である「BFA夏期セミナー」は1997年に始まりましたが、セミナー立ち上げ当時の議論や当時ウズベキスタンが直面していた課題などについて教えてください。(Khoshimov院長)ソビエト連邦からの独立後、ウズベキスタン政府は複雑な社会経済や政治情勢を舵取りする必要性に迫られており、ウズベキスタン国内の経済改革や近代化などに向けた道筋を模索中でした。国内の指導者層は、国際的な知見を得た次世代の人材がウズベキスタンの成長に貢献しうることを理解しており、こうした認識のもと、BFAの学生が変化する世界秩序に対する洞察を得て、国際情勢の力学をより深く理解する土台を作ることを目的としてBFA夏期セミナーが開始されたと理解しています。(財務総研)(Khoshimov院長)BFAでは、財務総研による中央アジア・コーカサスセミナー以外にも、海外の政府機関や大学、金融機関等と提携し学生が学べる機会を多く提供していますが、中央アジア・コーカサスセミナーは、BFAの教育プログラムの中でもユニークかつ重要な位置を占めています。中央アジア・コーカサスセミナーでは、各分野における日本の著名な学者や政策担当者、専門家から貴重な見識を得て、政治・経済等の様々な面で相互に影響し合う国際社会を正しく理解するために不可欠な国際的な視座を養うことができます。そして、当該セミナーを通じて得たこれらの知見が、BFAの学2. 中央アジア・コーカサスセミナーに関わる方々へのインタビュー参考:セミナーカリキュラム1. 政策講義:日本の経済、財政、税制、金融等に係る制度や経験に関する講義 主な講義:「日本の財政の現状と財政健全化の取り組み」、「国際課税の最近の動向」、「金融庁におけるプルデーンス政策」2. 一般講義:わが国の文化・社会に関する理解を深めてもらうことを目的とした講義 主な講義:「日本の社会と文化」、「日本語研修」、「英語プレゼンテーションの技法」3. グループワーク:事前に財務総研が設定した財政課題等に関するテーマから参加者が関心のあるテーマを選択。同一テーマを選択した参加者でグループを組成し、指導教官の下、課題の解決方法につき議論を行い、最終成果物としてプレゼン資料(グループポリシーペーパー)を作成し発表。 テーマ:「財政の持続可能化(財政政策、税収の流動性等)」、「公共支出管理」、 「各国固有の財政課題克服への取り組み(インフラ投資、社会保障制度等)」4. 視察:日本経済・社会情勢について理解を深めてもらうため、日本の財政・経済部門の主要機関や民間企業、及び、歴史文化的施設等への視察を実施。 主な視察先:東京上野税務署、東京証券取引所、造幣局、京セラ本社、清水寺等今回、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大という歴史的にも困難な状況を乗り越え、約4年ぶりに中央アジア・コーカサスセミナーを対面開催(2023年8月~9月)した経験は、財務総研の知的支援の意義を改めて考えさせられる良い機会にもなりました。そこで、中央アジア・コーカサスセミナーに関わる外部の方々の本セミナーについての思いを通じ、改めて本セミナーの意義を見つめ直すことを目的として、これまで本セミナーに最大の参加者を派遣してきたウズベキスタンBFAのKhoshimov院長や、長年本セミナーにおいて講師を務めていただいている上田衛門先生(慶應義塾大学)、アンドラディ・久美先生(元・(1) Elmurod Khoshimov BFA院長 65 ファイナンス 2024 Jan.

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