ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 60 b.誰に仕事を任せるのか考える2つ目、現状では少し難しいが、工夫を凝らしたり、誰かの助けを借りたりすれば実行できる人を選ぶとよいでしょう。そうした相手に任せるのが、本人にとってもやりがいを感じ、成長にもつながっていきます。c.相手が仕事を受け入れる3つ目、相手に「任せます」と伝えます。相手ときちんと合意を得てから、任せるようにしましょう。d.任された人が仕事を完了するのを信じて待つ4つ目、一度任せたら、その仕事を終えるのを信じて待ちます。任せた相手が、困ったときに相談してきてくれるよう、気軽に相談を受けましょう。エ)お互いに仕事を任せる技術を学び合う仕事を任せることが得意な人もいれば、そうではない人もいます。皆さん同士で仕事の任せ方を学び合ってください。マネージャーは孤独になりやすいものです。マネージャーの抱える人や組織の課題は共通性のあるものが多いため、他のマネージャーに相談できれば、解決策のヒントが得られますし、気も楽になります。マネージャー同士が情報交換をする機会を作るといいと思います。心理的安全性を高めるための4つ目のアプローチは、「ピアサポート」です。ピアは同輩や同僚、サポートは支援です。「同僚間でお互いに支え合う」のがピアサポートです。ピアサポートが日常的に行われていると、同僚間で信頼関係が生まれ、「ミスをしても大丈夫」と思えて、結果的に心理的安全性が高まります。助け合う職場を作っていくことが重要です。イ)道具的支援と情緒的支援サポートには2種類あります。一つは「道具的支援」です。これは多くの方がサポートと言われたときに、頭の中に浮かぶものだと思います。業務を進める上での助言や指導が道具的支援に当たります。令和5年度上級管理セミナーも手です。あるいは、月曜日の午前は、メンバーからの意見を歓迎する時間帯、などとあらかじめアナウンスするやり方もあるでしょう。それぞれの職場に合った方法を取り入れていただいて、メンバーからの相談が習慣化されるようにしていきましょう。c.聞いた意見を実行に移し、感謝を伝える「意見を聞いたら、実行に移す」ことも大事です。「いつも意見を聞いてくるけれど、反映されたためしがない」となると、メンバーは意見を言うことに対して前向きではなくなってしまいます。このため、取り入れることができそうな意見であれば、積極的に取り入れ、そして取り入れたことをメンバーに伝えていただければと思います。心理的安全性を高めるための3つ目のアプローチは、「自律性の高い仕事を提供する」ことです。自律性とは、仕事の目標や計画の進め方を自分で決められることです。つまり裁量です。裁量の大きい仕事を提供すると、提供された人の心理的安全性が高まります。イ)仕事を任せることが重要自律性が高い方がモチベーションも高まりやすく、その結果、心理的安全性も高まります。この対策はシンプルで、「任せる」ということに尽きます。様々な任せ方があるでしょう。プロジェクトの一部を任せるやり方もありますし、致命的な問題が発生しない仕事を、まずは全部任せるという形もあると思います。メンバーに仕事を任せてください。それが心理的安全性を高めることにつながっていきます。ウ)仕事を任せる際の基本ステップ仕事を任せる際に有効な4つのステップがあります。a.任せる仕事の種類を考える1つ目、任せる仕事がないと任せることはできません。内容を定義し、どこまで任せるかを考えていただければと思います。(4)仕事の自律性ア)自律性が高まるとポジティブな心理になる(5)ピアサポートア)同僚間の支援

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