ファイナンス 2024年1月号 No.698
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講師演題します。さらにそこから、マネジメントのあり方について考え直す時期に来ているのではないかということを説明させていただきます。私の本日の講演は、大きく分けて3つのパートから構成されています。最初のパートは、心理的安全性とは何か、ということで、定義やイメージを膨らませていただきます。次のパートは、心理的安全性を高めていくためには何をすれば良いかというものです。ここでは4つの方法についてお話しします。このうち、最初の2つは、マネジメントに関わる観点で、3つ目が仕事の振り方。4つ目が職場をどうやって作っていくのかという観点から説明をします。最後のパートは、心理的安全性は万能薬ではないこと、相性の良い職場もあれば、そうではない職場もあることをお伝えします。副作用に着目することで、心理的安全性とは一体何なのかということがよく分かります。心理的安全性についてインターネットで検索すると、アメリカの研究者エドモンドソンが提唱した、と書かれはじめに皆さんおはようございます。ビジネスリサーチラボの伊達と申します。本日はよろしくお願いいたします。今日は心理的安全性とその高め方をテーマにお話を1.心理的安全性とは何かているケースがありますが、厳密には違います。元々心理的安全性という概念自体はそれ以前から存在していました。当時は、組織がどうやって学んでいくのか、組織をいかに変えていくのかという議論の中で「心理的安全性を担保する必要がある」と言われていました。それを、職場の中の問題として位置付け直したのがエドモンドソンです。元々組織の文脈で言われていた心理的安全性という概念を、1990年代にエドモンドソンが職場の対人関係の問題として定式化したのです。エドモンドソンは「対人関係のリスクを取っても安全であると感じられること」と心理的安全性を定義しました。この定義で分からないわけではありませんが、明確にイメージしにくいので、少し掘り下げながら、心理的安全性とは具体的にどういうものなのかを説明していきます。「対人関係のリスクを取っても安全であると感じられること」という定義において初めに理解すべきは、「対人関係のリスク」という部分です。対人関係のリスクとは何なのでしょうか。例えば、「自分が発言をすることによって、自分の評価が下がってしまうのではないか」「自分が本音で意見を言うと、鬱陶しいと思われてしまうのではないか」「せっ(1) 心理的安全性は当初、組織学習の文脈で令和5年9月28日(木)開催使用(2)職場の人間関係として位置付け直す(3)心理的安全性の定義(4)対人関係のリスクとは 57 ファイナンス 2024 Jan.令和5年度 上級管理セミナー伊達 洋駆伊達 洋駆 氏 氏(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)心理的安全性とその高め方: 心理的安全性とその高め方: 現代組織における現代組織におけるマネジメントの役割を再考するマネジメントの役割を再考する

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