ファイナンス 2024年1月号 No.698
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財務大臣鈴木 俊一令和6年の年頭に当たり、謹んで新年の御挨拶を申し上げます。1月1日に最大震度7の能登半島地震が発生いたしました。この地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。2021年10月に財務大臣兼金融担当大臣を拝命してから2年以上が経過しましたが、この間の内外経済を顧みますと、ロシアによるウクライナ侵略や未曾有の物価高騰、世界的な金融引締めなどを背景とした為替変動や金利上昇など、急激な変化が続きました。また、中長期的な観点からは、人口減少・高齢化、気候変動、デジタル化といった構造変化が依然として重要課題として立ちはだかり、日常生活にも大きな影響を及ぼし続けています。このような変化を前に、私たちはただ動揺し萎縮していてはなりません。政府としては、まずはこうした変化が及ぼす悪影響から国民生活と事業活動を守り抜くために万全を期する一方で、こうした変化をむしろチャンスとして捉え、将来の経済成長につなげていくための政策を、知恵を絞って検討し実現してまいりたいと考えております。具体的には、以下に掲げる3つの抱負を胸に、新年を「辰年」の名にふさわしい力強い成長の年とし、希望ある社会を次世代に引き継げるよう、経済財政運営に全力を尽くしてまいります。1つ目は、デフレから脱却し力強い経済成長を実現することです。バブル崩壊以降の30年間、日本はデフレに悩まされ続けてきました。デフレによる需要停滞と新興国とのコスト競争を背景に企業はコストカットを優先せざるを得ず、国内投資も労働者の賃金も抑制されてきました。その結果、イノベーションの停滞や中間層の減少といった新たな課題にも直面してきました。岸田内閣では、こうしたコストカット型の経済からの悪循環を断ち切るべく、デフレからの脱却をマクロ経済運営上の最大の課題として様々な取組を進めてまいりました。1  デフレから脱却し力強い経済成長を実現する 1 ファイナンス 2024 Jan.令和6年1月財務大臣年頭所感

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