ファイナンス 2024年1月号 No.698
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税制改革歳出の増加率(%)ファイナンス 2024 Jan. 46 【図表5】新たな財政枠組における歳出の増加率について(例:歳入の実質増加率が2.5%であった場合)2.752.502.252.001.751.501.251.000.750.500.250.00-1.0(出典)連邦議会下院HPより筆者作成0.00.51.01.5PB目標達成PB目標未達成2.02.53.0歳入の増加率(%)3.54.04.55.0PB目標を達成した場合の増加率PB目標を達成できなかった場合の増加率歳出増加率の上限歳出増加率の下限歳出増加率の下限と上限0.6%~2.5%5.56.06.57.0*2) 予算案の編成作業を実施する年の6月末までの直近12か月を対象に算出したもの。*3) 算出方法はインフレ率と同様。を達成した場合、インフレ率*2を考慮した上で、歳入の増加率*3の70%を上限とする。しかし、目標値を達成出来なかった場合には、歳入の増加率の50%が上限となる。加えて、歳出の増加率には0.6%~2.5%の範囲が設定され、歳入が大きく伸びても歳出の前年比増加率は最大2.5%に留まる一方で、歳入が伸びなくても最低0.6%の増加は確保されるものとなっている。2024年予算法案の議会提出時点(2023年8月末)でのプライマリーバランスの目標値(許容幅±0.25%ポイント)は、2023年:対GDP比▲0.5%、2024年:同0.0%、2025年:同+0.50%、2026年:同+1.0%となっている。また歳出のうち、上記の制約の対象とならない支出項目が規定されている(州等への財政移転、教育関連の基金、連邦直轄区への基金等)。このような項目は2024年度予算案では、約6,000億レアルが計上され、政策的経費(プライマリー歳出)の約22%を占めている。2023年6月に公表されたIMFの対ブラジル4条協議報告書では、この枠組について、「財政状況の改善に対する政府のコミットメントは非常に歓迎される」と取組を評価しつつも、「債務をしっかりとした削減軌道に乗せるため、新たなルールで強化された財政枠組に支えられた、より野心的な財政面での取組を推奨する。年金や行政におけるものを含む硬直性に取り組むためにも、歳出面での改革が必要である。」と指摘し、歳出面でのより踏み込んだ対応を求めた。ブラジル経済に関わる中で必ず耳にする言葉に「ブラジルコスト」というものがある。開発工業貿易サービス省の調査において、これを「(平均的なOECD加盟国と比較し)ブラジル国内に所在する企業が国内で生産活動を行うにあたって直面する追加的なコスト」 〜消費に関連する連邦税や州税、州毎に異なる税率を統合してより簡素で透明性の高い税制に。今後は公平な税制を目指し法人税・所得税改革に着手。〜

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