ファイナンス 2024年1月号 No.698
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記記図表9 10年物価連動国債の発行条件(2023年8月10日)図表10 10年物価連動国債の入札結果(2023年8月10日)(参考)発行日(8月4日)の連動係数  1.00672(出所)財務省1. 名称及び記号2.  発行根拠法律 及びその条項3. 表面利率4. 発行日5. 利子支払期6. 償還期限7. 発行予定額8.  入札及び 9. 発行価格10. 申込締切日時11. 募入決定通知日12. 払込期日10年物価連動国債(第28回)の入札発行本日、入札参加者に対し10年物価連動国債(第28回)の入札の実施を通知しました。その概要は下記のとおりです。募入決定の方法令和5年8月3日財務省利付国庫債券 (物価連動・10年)(第28回)特別会計に関する法律 (平成19年法律第23号)第46条第1項年0.005パーセント令和5年8月4日毎年3月10日及び9月10日令和15年3月10日額面金額で2,500億円程度価格競争入札によるダッチ方式(応募価格は発行日の連動係数積算前の価格とします)募入最低価格により決定令和5年8月3日令和5年8月3日令和5年8月4日午前11時50分    (注1)発行価格は連動係数積算前の価格    (注2)募入最高利回りは発行価格を基に算出した単利利回り(参考)発行日(8月4日)の連動係数  1.00672(出所)財務省本日、10年物価連動国債(第28回)の入札について、下記のように募入の決定を行いました。1.  名称及び記号利付国庫債券(物価連動・10年)(第28回)2.  発行根拠法律 及びその条項3.  表面利率4.  発行日5.  償還期限6.  応募額7.  募入決定額8.  発行価格 (募入最低価格)105円20銭9.  募入最高利回り-0.510%10.  募入最低価格に おける案分比率82.3529%10年物価連動国債(第28回)の入札結果特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項年0.005パーセント令和5年8月4日令和15年3月10日7,263億円2,499億円令和5年8月3日財務省9は2023年8月に実施された10年物価連動国債の事例ですが、これは入札当日の10時30分に公表された条件です。下記の通り、入札前に、表面率(0.005パーセント)が公表され、発行予定額は2,500億円程度ということがわかります。入札方式についても、前述のとおり、価格競争入札によるダッチ方式(プライス・ダッチ方式)であることが記載されています。図表10が入札の結果です。募入最高利回りが-0.510%と記載されていますが、これは実質金利になります(この計算については次回の論文で議論します)。ダッチ方式による入札であるがゆえ(落札者が全員同じ価格で購入するため)、テールを計算することはできません。入札結果の解釈には、その時の結果の予測との乖離に加え、応札倍率なども用いられる傾向があります(国債の入札結果の解釈は服部(2023)の8章を参照してください)。上記が国債発行に係る入札の結果ですが、次に買入消却の事例を取り上げます。図表11は入札の実施前にリリースされた情報ですが、額面で200億円程度の規模であり、対象は第18回債から第28回債であることがわかります。入札方式がコンベンショナル方式であることも確認できます。図表12が買入消却の結果になります。買入消却はコンベンショナル方式であるため、応札額が買入額のギリギリに達する「買入最大価格較差」だけでなく、平均的な購入額である「買入平均価格較差」も開示されています(その両者の差をとることでテールを計算することができます)。図表12にある通り、入札結果は価格較差で公表されていますが、公社債店頭売買参考統計値(入札当日付の平均単価)を用いて、その価格較差が算出されています(詳細については服部(2023)や服部・齋藤(2023)を参照してください)。流動性供給入札と同様、図表13の通り、どのような銘柄が落札されたかも開示されています。4.2 買入消却の事例 37 ファイナンス 2024 Jan.

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