ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 22 3.防衛・優先順位を付けた上で合理化・効率化を徹底しつつ、「防衛力整備計画」で定められた43兆円程度を最大限効率的に活用し、防衛力強化を進めていく必要。防衛関係費は、長期にわたる防衛力を支える継続的な予算であり、安定財源の確保が不可欠。・内外の物価上昇や為替の減価によって装備品等の単価が上昇する中で必要な防衛力を確保するためにも、価格低減等に努める必要。・ライフサイクルコストを通じたプロジェクト管理について、実効的なコスト抑制につながるよう、運用改善やガバナンス強化等が必要。4.外交5.文教・科学技術・義務教育について、日本全体で人手不足が問題となる中、教職の魅力を高めることで教員の「質」の確保を図りつつ、「働き方改革」の徹底やICTの活用等により、「数」に頼らない持続的・効率的な学校運営を図っていくべき。・高等教育について、少子化が進み大学の経営環境が厳しくなる中、経営の健全化に資する定員規模の適正化等を、予算のメリハリ付けの強化を通じて進めていくべき。・科学技術について、若手研究者の活躍機会の確保に向けて、硬直的な人事制度や研究費等の配分方法の柔軟化を図るとともに、博士人材のキャリアパスの複線化を促すべき。6.社会資本整備7.農林水産8.国内投資・中小企業・GX・DX等の成長分野への投資拡大に向けた取組は重要。民間資金を活用するとともに、インフレ懸念にも留意しながら進めていく必要。GX分野では、財源を含めた長期的な戦略フレームワークが明確化。DX分野である半導体等についても、諸外国の支援手法(投融資等)も参考にしつつ、必要な財源と一体で、中長期的な戦略を描くべき。・新型コロナが5類感染症に移行したいま、新型コロナ対応のために措置された補助金や金融支援については、事業者の状況を見きわめながら不断に見直し、早期に中小企業対策費全体を正常化する必要。9.デジタル・政府のシステム予算について、デジタル庁が統括監理や一括計上の枠組みを用いて、更なる効率化やコスト削減に努めるとともに、予算の総額をコントロールするための目標を設定する必要。・地方公共団体のガバメントクラウド活用について、コスト削減に向けた検討をデジタル庁がさらに進めるとともに、その削減効果やコスト削減以外のメリットをわかりやすく示し、地方公共団体がガバメントクラウドを利用する合理性を丁寧に説明していくべき。10.地方創生11.国家公務員等の旅費制度の改正財政制度等審議会「令和6年度予算の編成等に関する建議」について・我が国が直面している厳しい国際情勢に機動的かつ的確に対応するため、有力な外交ツールであるODAについても、より戦略的・効果的に活用されるべき。・その際には、諸外国における抜本的な見直しの例も参照しつつ、資金を優先順位付けして戦略的に有効活用する取組や民間資金との効果的な連携等を一層図っていくべき。・近年、防災・減災、国土強靭化等のために公共事業の予算規模が増加しているが、インフラの整備水準の大幅な向上や、建設業の労働需給が逼迫している点なども踏まえ、公共投資の適切な規模を見極める必要。・国土強靱化に向けた今後のハード整備は、人口減少を見据えて将来世代にも受益が及ぶ事業へ重点化させることや、災害リスクエリアに新築を促さない仕組み・規制や実効的なコンパクトシティ政策等と組合わせることで、防災・減災効果をより効率的に高める必要。・農業政策の構造転換を進めるべく、「生産面」において、水活交付金及び収入保険などセーフティネットについて、生産性向上や需要に応じた生産の推進、制度の持続可能性の観点から必要な見直しを行うべき。・「生産基盤」である担い手について、法人経営体の増加や規模拡大、雇用就農を推進する観点から、制度面も含めた労働環境の改善が必要。また、サービス事業体の育成などスマート技術の実装、効率的な活用を進めるべき。・地域の「稼ぐ力」「地域の総合力」「民の知見を引き出す」観点から先導性の高い地方公共団体の取組を支援していくため、地方創生関係交付金の実効性を高める枠組みに改め、地方創生に向けた支援の改善・強化を図るべき。・国内外の社会情勢の変化に対応できるものとするとともに、国家公務員の働き方改革に資する事務負担軽減や業務環境の改善を図るため、令和6年の通常国会に旅費法改正法案を提出すべき。Ⅱ:各論Ⅱ:各論

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