ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 16写真 4 内閣官房内閣感染症危機管理統括庁 参事官補佐 大沢 暁子写真 5 厚生労働省年金局年金課 課長補佐 道上 友里香 藤井サチさん タレントのお仕事は個人事業主なので、自分で切り開いていかないと!という意識はありますね。その意味では、公務員の組織としての意思決定プロセスはすごいなあと思います。もちろん、マネージャーの方をはじめ多くの方のサポートがあったうえで成り立つのが私たちの仕事ではありますが。私たちの情報発信の課題かもしれませんが、年金や医療などの保険料は、使用される目的が決まっているので、保険料を支払うことにより必要な時に給付を受けられる権利を得ているものであると受け止めてもらいたいなと思います。最近取り上げられることの多い「年収の壁」と呼ばれるものも、パート・アルバイトの方が、一定の年収を超えると社会保険料を払わないといけなくなるため働くことを控えてしまう現象なのですが、厚生年金に入ると将来貰える年金が増えるということが知られていないと感じています。財政や社会保障の情報発信について藤井サチさん もう一つ気になることがあって、将来の不安の一つとして、年金ってもらえるのかな、と友達と話すことがあるのですが…。道上補佐 確かに、政府や制度への不安を漠然と持っていて、その象徴として年金を挙げられる方は多いですよね。年金については、少子高齢化が進む中で、現役世代の負担が増えすぎないような制度改正が行われていますし、5年に1度将来の見通しをお示しして、必要な見直しもしているのですが…。社会保険だけでなく税も同じですが、支払ったものが給付や公共サービスといった形で返ってくる、こういった負担と受益の関係をしっかり伝えていく必要があるのかなと考えています。藤井サチさん たしかにそういった情報は、発信も難しく、受け手側のリテラシーも必要でなかなか伝わりづらいかもしれませんね。そもそも、SNSやネットにたくさんある情報と、ネット上にはない情報もあるじゃないですか。皆さんみたいな方が、メディアに出て説明してくれたらいいのに…。私だったら絶対に聞きに行きます!いろんな政策もそうですが、現場にいる方のリアルな説明はすごくほしいなと思います。阪井室長 情報発信の話が出たので。藤井さんから見て、財務省がもっとこうしたらいいのでは、というような点はありますか。藤井サチさん 財務省は本当にお堅いイメージがあるので、身近な人が働いているんだと思ってもらえるようにSNSを活用して楽しい現場を伝えるだけでも、若者には印象が変わると思います。やっぱり私もそうですが、財務省の皆さんはエリートで、財務省という場所もあまり何をしているところかわからないお堅いところ、というイメージがあると思うので。あと、私のような人にどう分かりやすく伝えるか、は大事ですよね。伝えたいことをどうやって分かりやすく伝えるのかというのは、私もコメンテータとしての課題です。道上補佐 分かりやすさを重視して情報を絞ると、制度上は配慮していたとしても、変な方向に受け止められて、誤解が生まれてしまうことも懸念しています。そのさじ加減は本当に悩ましいですね。

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