ファイナンス 2024年1月号 No.698
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写真3 国際局開発政策課 参事官 城田 郁子道上補佐 私は、日本で様々な課題が山積する中で、「自分に何ができるんだろう」と考え、財政を通じて幅広い分野に携われる財務省の仕事を選びました。いま若い人たちに社会課題に関心を持ってもらえているのはすごく心強いですが、その対応策がよく分からないブラックボックスで決まっているように見えていないか気になっています。私自身、霞が関で働き始めた頃、あらゆる政策についてこんなにも丁寧な議論を積み重ねて決められているのかと驚いた記憶があります。どういった議論が行われているのか、予算でいえば使い道が具体的にどういう風になっていて、なぜそうなったのか等をもう一段階ブレイクダウンして伝えていけたらいいのかなと思っています。藤井サチさん まさに私もそう思っています。最初のイメージに戻りますが、「財務省は税を少しでも多く集めるところ」といった浅いイメージだと、増税なども全て財務省が決めていて、私たちのことを考えてくれているのかなって疑問に思っていました。今皆さんと少し話してみて、全てを財務省が決めているわけではないんだなとわかってよかったですが…。最近のいろんな決定も、どう決まっているのかが不透明だと、信用していいものかわかりません。そうした観点では、財務省の意思決定のプロセスはどうなっているのでしょうか。城田参事官 私の部署では途上国の開発支援の業務を行っています。世界中のいろんな国についての担当者がいて、各担当者がその国についての足元の事情を一番よく知っている形になります。その担当も国益等を色々と考えるわけですが、地域の中での関係、他国との関係、開発政策以外の分野との関係等日本の国益としてはどうなんだろうとか、より広い着眼点での議論を重ねて決めていきます。大沢補佐 多くの政策は、財務省の外の方も含めて、その政策に関係する方々と幅広く議論して決めていきます。例えば、税制を変えることになると、かなりの人に大きな影響を与えるので、まず、どうやれば公平か、どうやれば適切か、さらに関係者からどういう意見が出るか、丁寧に検討します。その過程で、部内で制度に詳しい方、理論に強い方も含めて、何度も相談します。その上で、他の省庁や民間の方々とオープンに議論を行って、ようやく最終的な結論にたどり着くことができます。藤井サチさん 少し角度が変わるかもしれないですけど、財務省のなかで女性の比率はどのくらいなのでしょうか。国民の半分は女性だけど、国のことをほとんど男性が決めているっていうのはなんか不思議だなって思うので…。道上補佐 最近はだいぶ女性の採用が増えていて、10年目くらいまでの職員だと大体3割くらいが女性です。城田参事官 私が入ったころはまだまだ少なかったです。採用が増えるようになってはいますが、幹部層はまだ男性が多いかなという印象です。ちなみに私の今の部屋はほぼ半々ですね。藤井サチさん そうなんですね。人口比的にも若者の意見が通りづらくなっている中で、多様な意見をどうやって聞いてもらえるかなと思ったときに、意思決定の場に女性が増えることも一つ挙げられるのかなというのも思っています。城田参事官 もちろん増えた方がいいと思います。身の回りのことを決めるのが政府ですが、身の回りでどういった問題を抱えているのかは、男性女性で気づきも違ったりするので、女性が増えて欲しいなと思います。藤井サチさん そうですよね。もっと国に携わる仕事をしたいっていう女性が増えたらいいなと思います。大沢補佐 ちなみに組織で働くこととの対比で伺うのですが、モデルのお仕事は、どのような感じなのでしょうか。 15 ファイナンス 2024 Jan.

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