ファイナンス 2024年1月号 No.698
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ファイナンス 2024 Jan. 14写真 2 藤井 サチさん 藤井サチさん 改めまして、財務省ってどんな仕事をされているところなのでしょうか。城田参事官 国際局の城田です。財務省のなかにはいくつも局がありますが、組織全体で、ミッション・ステートメントがありまして、「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」ということを意識して仕事をしています。例えば予算や税制についても、10年先、20年先の日本を考えたときにどういうところに本当にお金が必要なんだろうとか、どういう人たちに税の負担を求めてそれを分配していくのがいいのかというのを考えて、制度設計などをしています。大沢補佐 内閣官房の大沢です。直前は主税局で法人税の担当をしていました。税では、必要な金額を、どなたから、どういった形で、どれくらい頂く必要があるのかを踏まえ、制度設計を行っていくこととなります。新しい制度を作ったり、既存の制度を変更する際には、社会全体への影響を見極めながら決める必要がありますが、多くの関係者との議論があって初めて形作ることができます。例えば私が担当していた法人税で言うと、研究開発を後押しする特別措置がありますが、その制度が企業の研究開発を実際に後押しするものとなるよう、企業の方などとしっかりお話をしながら設計をしています。藤井サチさん そうなんですね。財務省ってすごく俯瞰しているようなイメージがありましたが、意外と現場などを見ながらリアルなことを現実的に見ているんですね。道上補佐 厚生労働省の道上です。藤井さんの仰るとおりで、財務省の仕事はどれも経済状況など実態をしっかりと見ながら考えていく必要があるものばかりです。省内には、マクロ経済政策を担当、分析するような部署もあります。藤井サチさん マクロ経済…難しい…。大沢補佐 難しいですよね(笑)。仕事では組織内外の方と日本はどうあるべきかたくさん議論をするのですが、財政となると身近な暮らしとは離れてしまう印象もあります。藤井さんも街でお茶を飲みながら「今年の税制改正は…」とか友達と話さないのではないでしょうか。藤井サチさん 私はめちゃめちゃ気になります!友人などとも、防衛費の話や、それに伴った増税の話、社会保険料が上がるけど給料は上がらなくて手取りが少なくなってしまうことなど、社会についていろんな話をします。こういった話について、Z世代は意外とものすごく関心があると思います。やっぱり、少し上の世代の苦労を見てきているので、自分自身の人生について考える人がかなり多くて、自分の幸せも、良い環境があってこそだと、お金についてシビアに考えています。私は今26歳なのですが、結婚する友達も出てきていて、子育てにかかる費用とかを見て、「今は無理だ」とかの声を聞きます。こうしたリアルな問題に直面して、たとえば出産助成金のことを考えたりする中で、日本経済や財政とかが自分事になって、「どうなるんだろう」と興味を持っているんだと思います。私も数年前までは、正直偉い人が勝手にやってくれているんだなと思っていましたが、こうした問題を身近に目にするようになってから興味を持つようになりました。城田参事官 政治や社会に興味を持った時にどうするかって難しいですが、何かされますか?藤井サチさん 選挙にいこう!ということしかないです。私はコメンテータの仕事もしていますが、偉そうなことを言うだけでは社会はなにも変わらないと考えています。若い人たちの投票率が少しでも上がるように、せっかく表に出る仕事をさせてもらっているので、貢献できればと考えています。私が社会問題に興味を持った背景はこのような感じですが、みなさんが何で財務省に入られたのかも教えてほしいです。財務省の仕事について

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