ファイナンス 2023年12月号 No.697
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地方創生コンシェルジュ東海財務局岐阜財務事務所長 石川 哲才歴史的に価値のある建物であっても空き家の老朽化は免れないところ、美濃市では、民間主導による再生で地域活性化につなげています。全国的な課題である空き家活用の優良事例としてぜひ参考にしていただきたい取組です。 ファイナンス 2023 Dec. 73完成した古民家ホテルNIPPONIAの外観金庫扉のある居間古い梁がそのまま残る客室団法人地域総合整備財団が実施している「公民連携アドバイザー派遣事業」や内閣府の「PPP/PFI専門家派遣事業」を活用して、外部有識者の意見を聞くこととしました。実際に寄贈の打診があった建築物を外部有識者に見てもらった上で得たアドバイスを参考に、公募型のプロポーザルで事業者を選定し、民間事業者との連携によって寄附を受けた古民家を30年の定期借家契約による普通財産の貸付によって活用することとしました。これは美濃市初めての取り組みです。優先決定した事業者のプランは、ホテルとフロントを別で設置、また、美濃和紙を販売する店舗も併設するといった「分散型ホテル」として運営するという点が特徴的で、かつ、当該古民家の間取りにマッチしていたことが評価の対象となっています。で調達しています。改修費用は約1億4,500万円で、うち5,000万円が農林水産省の補助金です。今回の事業は、「市が改修費用を出さないかわり、運営方法等に口を出さない」という美濃市では類を見ない手法を活用しました。この事業が軌道に乗ったのは、建物そのものが立派で魅力あるものであったことに加え、民間事業者のノウハウと熱意が建物にマッチしたことがその理由と考えられます。今後、この施設「分散型ホテル」が、移住者の増加や新規店舗の開業等による賑わい創出につながることを願っています。民間主導での古民家再生による地域活性化 4.民間主導による活用改修経費は、プロポーザルで選ばれた事業者が自身美濃市

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