ファイナンス 2023年12月号 No.697
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美濃市総合政策課 課長補佐篠田 啓介改修前の古民家市内には、美濃和紙の里会館や、江戸時代から明治・大正時代の歴史的建造物が建ち並ぶ「うだつの上がる町並み(国重要伝統的建造物群保存地区)」などがあり、年間を通じて多くの観光客が訪れています。また、毎年開催される美濃和紙あかりアート展は、「美濃和紙」と「うだつの上がる町並み」のコラボレーションとして、数多くの独創的なあかりの作品が展示され、幻想的な世界が醸し出されます。1.美濃市の概要美濃市は、日本の中央に位置し、天下の名川である長良川や緑濃い山々など豊かな自然と1300年の伝統を誇る「美濃和紙」、中心市街地には、江戸時代に築かれた伝統的な建造物が多く残り、歴史的景観が保たれるなど伝統文化が息づくまちです。2.寄贈された古民家市内には3つの世界遺産(ユネスコ無形文化遺産「和紙 日本の手漉和紙技術」、世界農業遺産「清流長良川の鮎」、世界かんがい施設遺産「曽代用水」)を含め様々な地域資源を有し、多くの観光客が美濃市へ訪れています。市としても新たな体験・滞在型ツーリズムの創出は課題であったところ、今回の古民家を再生した宿泊施設の企図に至りました。そもそも、この古民家は市に寄贈されたものです。いままでにも寄贈を受けた古民家や施設がいくつかありました。しかし、活用方法がなかなか決まらず、何年も手つかずの施設も存在していました。今回の物件は、代々和紙問屋を営む地元の名士が所有する邸宅と蔵です。邸宅は長年、使用していなかったこともあり傷みはありましたが、来客をもてなす別邸であったこともあり、すべての部屋から中庭が見える造りや、趣向を凝らした建具が備えられた大変立派なものでした。蔵がまるごと金庫となっていたり、茶室が備わっていたりと豪勢なつくりとなっています。数年前まで倉庫として実際に使用されていた蔵は、すべて2階建てで当時の隆盛をうかがい知るものとなっています。とはいえ、具体的にどのような施設にすべきか、大きな課題に直面しました。そこで、具体的な活用策の検討にあたっては一般財3.どのように活用すべきか寄贈を受ける建物は、「町並みの賑わいを創出する施設」、つまり、観光産業の拡大につながり、地域の賑わい創生に繋がる施設にするということ、また、「うだつの上がる町並み」の歴史や文化の継承に資する用途にすべきであるという基本的な方針は決まりました。 72 ファイナンス 2023 Dec.官民連携による 「まちなか古民家」活用について美濃市

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