*19) OISの説明は「日本国債入門」(服部, 2023a)の第11章を参照してください。(出所)中山・馬場・栗原(2003)より抜粋(出所)中山・馬場・栗原(2003)より抜粋VaRショック時にはスワップを払うことによるヘッジも多かったと指摘されます*18。スワップを払ってヘッジした場合、国債を保有したうえでスワップを払うため、アセット・スワップのポジションが生まれますが、この場合、スワップ・スプレッドの変動のリスクが残ります(スワップ・スプレッドの変動要因については「日本国債入門」(服部, 2023a)を参照してください)。中山・馬場・栗原(2003)では、金利上昇時にスワップを利用したヘッジにニーズがあるとしたうえで、スワップ・スプレッドについて「特に5年を中心とする中期ゾーンでスプレッド拡大が顕著だった」(p.5)とコメントしています。図表15が2003年におけるスワップ・スプレッドの推移になりますが、これをみるとスワップ・スプレッドの変動は看過できないため、一定のリスクが残る点に注意が必要です。シンセティック・ショートではSCレポレートの変動がリスクになると指摘しましたが、両者ともに短期金利の変動がリスクとなるところ、金利スワップ(Overnight Index Swap, OIS)*19の場合、TONAの変動がリスクとなるため、金利スワップでヘッジした場合とシンセティック・ショートでヘッジした場合の違いとして、短期金利の中でも、TONAとSCレポレートのスプレッドの動きがその違いとなる点に注意してください。 *18*19*18) 例えば、2013年5月の日銀の金融政策決定会合において白井審議委員が「2003年のVaRショックや2005年、2008年位にも金利が上昇した局面があったと思うが、確か私の記憶では、2003年の時はスワップを使ったヘッジが多かったと聞いている」(p.9)と指摘しています。詳細は下記を参照してください。https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2013/gjrk130522a.pdf図表14 SCレポ・レートの推移図表15 スワップ・スプレッドの推移VaRショックについてファイナンス 2023 Dec. 23Cÿ9ÿDCÿD<9ÿD
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