写真 3 主計局調査課 課長補佐 竹内 雅彦られる」という印象が強くて、それを簡単に理解してもらうのは難しい側面もあると思います。ただ、ごみを持って行ってもらうのにもお金がかかっているなど、身近にわかるポイントはありますよね。竹内補佐 とある情勢不安のある国に行って、その国の方々に状況を伺う機会があったのですが本来公共サービスとして提供されるものも十分提供されず、富の再分配機能も不十分で、お金持ちだけが十分なサービスを自己調達できる、という状況でした。日本では広く国民が利用できる公共サービスが当たり前に存在していることは幸せなことだと思います。一方で、当たり前であるが故に、少しでもサービスが低下することに抵抗感を感じる人もいると思います。少子高齢化が進む中で、サービス水準と負担のあり方について、色々な工夫をして仕組みを作って意思決定しなければいけない、という難しい状況について、どうすれば上手く理解してもらえるだろうか、と悩んでいます。カンニング竹山さん 社会を維持していくために税金は必要だと思いますが、負担のあり方には議論があるのではないでしょうか。例えば、税によっては、貧困層の方が負担感の大きいものもあると思います。歴史的に決まってきているものだと思いますが、例えば個人ごとに負担を変えるなど、税の形を見直していくような議論はあるのでしょうか。長谷川室長 税制は毎年改正を行っていて、社会の変化に適応できるよう議論を行っています。変化が速いので追いつけていない部分もありますが、政治家も含め様々な方々とも議論しながら、少しずつ税の形は見直されています。竹内補佐 社会に合わせて変える、というのは支出、すなわち公共サービスの部分も同じようにあります。例えば高齢者は基本的に医療・介護サービスの自己負担が現役世代より小さくなっていますが、高齢者の中には多くの資産を持っているなど、今以上の負担が可能な方がいます。そうした方に能力に応じた負担をいただくことで、子育て世代の負担を軽減したり、将来世代のために制度の持続可能性を高めるための改革に取り組んでいます。お話しいただいた受益と負担のバランスのとり方は、常に考えています。カンニング竹山さん 誰がどう負担するか、税金も含めて、個別に決めることは難しく、やむを得ず一定程度、一律で対応してきたのがこれまでだと思います。一方で、社会が多様化する中で、一律に対応することも限界にきているのではと感じることもあります。ちなみに、メディアは社会の変化に敏感でどんどん論点を出してきますが、実際に仕組みに落とすには何年もかかることが多いです。「もっと早く対応してよ!」と思うこともありますが、スピード感に大きな差が出てしまうのはなぜなのでしょうか。長谷川室長 税制は法律ですので、最終的には、政治家、すなわち国民の皆さまに決めていただくことになります。国会での審議という民主主義的なプロセスを経る以上、どうしてもスピーディーに対応できないという難しさはあります。よく、財務省が裏で操っているといったことも言われますが、少しでも現実社会に即した政策にすべく、我々としても多くの方々の意見を聞き、日々悩んで、様々な議論を経た上で作り上げているものであり、初めから答えが一つに決まっているわけではありません。カンニング竹山さん 多くの方との議論で方向性を出し、政治で決まるからこそ、何かを変えていくために国民は選挙を通じて政治家を選ぶプロセスに参画していくしかないということですね。選挙に行く人が少ないという状況は日本が平和で、飯が食える状況の裏返しなのかなとも思いますが。カンニング竹山さん ちょっと答えづらい質問になるかもしれませんが、日本は税を上げなければまずい状負担のあり方について 12 ファイナンス 2023 Dec.
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